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茨城県かすみがうら市は2023年度、同市産の梨を半液体状のピューレに加工することで、規格外品の廃棄を減らす事業に着手した。市内外の業者と協力、中学生にパッケージデザインを発注するなど、農家や企業、学校を結び付け、市を挙げてフードロス削減を推進する。8月下旬から梨の集荷を始め、9月以降に商品化を予定している。
市地域未来投資推進課によると、ピューレはミキサーにかけてとろみのある液状にした製品。梨の場合、一緒に煮込むと肉が軟らかくなるほか、ゼリーやケーキなど洋菓子の材料となり、飲用も可能。
特産地の同市では、果実の表面が変色し果肉が軟化する「みつ症」などにより、規格外品の廃棄が課題となっていた。明確な統計はないものの、廃棄する梨の「ロス率」は1割程度とみられるという。
規格外品の集荷には、千代田果樹観光協会(同市)の生産者10軒とJA水郷つくば(同県土浦市)が協力。連携企業の千葉市内の工場で加工する。輸送はかすみがうら市内の建築資材卸会社が担当し、自社の配送ルートを活用することでコストやCO2の削減につなげる。
商品化したピューレやゼリーのパッケージは、地元中学生がデザインの原案を担う。3校の美術部員が筑波大芸術系の学生から講習を受け、卒業制作として図案化する。今月内に、デザイン発表会を開く予定。
市は、ピューレの販売先や利用先の確保も図る。梨ピューレを使うキッチンカー事業者について、クラウドファンディングの利用手数料を補助するなどしている。
市産業経済部の高井淳理事は「若者、生徒が自ら参画することで、フードロス問題を学ぶだけでなく、地域や特産の梨への愛着も持ってほしい」と話した。