県内豪雨、激甚指定へ 首相「財政面で十分支援」

  ●補助率引き上げ復旧後押し

 富山県内に甚大な被害が出た6月と今月の豪雨が激甚災害に指定される見込みとなった。岸田文雄首相が27日、各地で相次ぐ大雨災害について「財政面で十分な支援ができるように、激甚災害指定に向けた手続きを早急に進める」と表明した。福岡市で記者団の質問に答えた。農地や公共施設の復旧事業に対する国の補助率を1割程度引き上げ、早期復旧を後押しする。対象地域は限定しない。今後、閣議で正式決定する。

 具体的には、農地や水路、林道のほか、河川、道路、下水道などの公共土木施設や福祉施設、公立学校などの復旧事業の国庫補助率を1割程度引き上げる。公立の公民館や図書館、体育館など社会教育施設の復旧事業は3分の2、私立学校は2分の1を国庫補助する。

 農協や漁協が所有する倉庫、共同作業場の復旧に対する国庫補助率も引き上げる。

 総務省消防庁の被害まとめでは、6月29日からの九州北部や北陸を中心とした大雨で死者13人、行方不明者1人(7月25日時点)、15日からの秋田県を中心とした大雨では死者1人(27日時点)。住宅や農作物にも大きな被害が出た。

 富山県内では6月28日と7月12~13日に豪雨が発生し、南砺市では土砂崩れに巻き込まれ、住民に避難を呼び掛けていた市議の赤池伸彦さん(65)=同市高窪=が死亡した。800軒を超える家屋の浸水被害に加え、河川や道路などの公共土木施設、農地、林道に被害が発生している。

 政府はこれまでに、愛知や和歌山などで被害が出た6月初旬の大雨も激甚災害指定する見通しだと表明しており、梅雨前線豪雨による災害として、まとめて指定する。

 ★激甚災害 国民経済に著しい影響を及ぼし、被災者や自治体に特別の支援が必要な災害。政府が激甚災害法に基づき指定する。被災自治体のインフラ復旧事業などに対し、国の補助率をかさ上げする。地域を特定しない「激甚災害(本激)」と市町村単位で指定する「局地激甚災害(局激)」がある。自治体が財政面の不安なく復旧に取り組めるようにするため、閣議決定前に指定見込みを公表している。

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