茨城・日立市、診療所開業に500万円 医師確保、建て替えも

日立市役所=同市助川町1丁目

茨城県日立市は27日、医師不足対策として、市内で診療所を新たに開業したり、既存診療所を建て替えたりする医師に対し、500万円を補助する支援事業を始めたと発表した。事業承継への補助を組み合わせると、支援額は700万円になる。市によると、診療科を問わない補助事業の導入は県内自治体で初めて。

市内の診療所は3月末時点で103カ所あり、ピーク時の2010年ごろに比べて18カ所減った。市内開業医の平均年齢も23年4月時点で64歳と高齢化が進んでおり、今後も閉院する診療所が増えると予想されている。

補助制度によって新規開業を促したり、既存診療所の継続を図ったりすることで、身近な場所で受診できる医療環境を確保していく狙いがある。補助対象と支援額は、「新規開業」と「新築、建て替え」が各500万円、「承継」が200万円、「常勤医の増員確保」が1人につき200万円とした。

補助要件は、新規開業や事業を承継した後に10年以上診療を継続することや、増員した常勤医を2年以上雇用する見込みがあることとし、休日緊急診療業務など地域医療への協力も求める。

補助対象の診療科は限定していないが、市内では特に産婦人科や耳鼻咽喉科が不足している。在宅医療のニーズも高まっており、かかりつけ医の役割を担う医師の確保につなげたい考え。

市内医療機関のデジタル化を進めるため、オンライン診療システムの導入に必要な初期費用などとして、1医療機関当たり最大50万円を補助する制度も新たに設けた。市によると、同様の支援は県内自治体で初めてとなる。

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