防衛省、ハラスメント根絶へ決意 元自衛官の性被害踏まえ

3月、記者会見する浜田防衛相=防衛省

 防衛省は2023年版防衛白書に自衛隊のハラスメント対策の項目を新設し、根絶への決意を示した。ハラスメントを「隊員相互の信頼関係を失墜させ、組織の根幹を揺るがす」と指摘。元陸上自衛官の女性が在籍時の性被害を訴えた事件を踏まえ「ハラスメントを一切許容しない組織環境を構築する」と強調した。

 白書によると、ハラスメント相談を受け付けるホットラインへの相談件数は16年度の109件から増加傾向にあり、22年度は1397件に上った。内訳はパワハラ1217件、セクハラ136件、妊娠中の人へのマタハラが44件。ハラスメントによる懲戒処分は21年度で173件だった。

 元自衛官の訴えを受け22年9月、浜田靖一防衛相の指示で始めたハラスメント根絶の取り組みも記述。全自衛隊を対象に特別防衛監察で実態を調べ、防止対策の抜本的見直しに向けて有識者会議を設置したことなどを説明した。「新たな対策を確立し、全ての自衛隊員に徹底させる」とした。

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