トレンドに“便乗” トーマスがカウンターバランスパターを投入

プレーオフシリーズ進出へ正念場のジャスティン・トーマス(提供:GolfWRX)

カウンターバランスのパターは今季複数の選手のキャリア復活を支え、さらなる高みに到達した。勝利から遠ざかった期間に終止符を打つために、メジャーを制覇するために、この細長いパターが使われてきた。

ジャスティン・トーマスは、今季最も熱いギアのトレンドに便乗した最新メンバーだ。27日(木)に行われた「3Mオープン」第1ラウンドでカウンターバランスのパターを実戦投入。競技の場でこの種類のパターを使用したのは、ルーキーシーズン以来のことだった。

「これは今、ホットなものだよね。僕はこれまで、スコッティキャメロンのものであれば、“靴”でだってパットして決めることができると言ってきた。これ(スコッティキャメロン)だと安心できるんだ」。スピード(タッチ)の調整に苦しんだルーキーシーズン以降、カウンターバランスのパターからは遠ざかっていた。

カウンターバランスのパターを投入(提供:GolfWRX)

しかし、リッキー・ファウラーやウィンダム・クラーク、キーガン・ブラッドリーがいずれもカウンターバランスのパターで今季の成功を手にする中、再びトーマスのバッグへと戻ってきた。ブラッドリーは昨年10月「ZOZOチャンピオンシップ」で4年ぶりの勝利を飾ると、6月「トラベラーズ選手権」で2011年以来となるシーズン複数回優勝を達成した。

ファウラーも今月「ロケットモーゲージクラシック」で4年ぶりの優勝。クラークはファウラーのパターの完全なるレプリカを使用し、キャリア最初の2勝を挙げた。そのうち1勝は「全米オープン」だった。

3人そろって、カウンターバランスのオデッセイ VERSA JAILBIRDを使用。一方でタイトリスト契約選手であるトーマスが使うのは、信頼のスコッティキャメロンブランド。38インチのカウンターバランスシャフトが装着された、プロトタイプのPHANTOM X 9である。

PHANTOM X 9はウィングのついた“ほぼフェースバランス”のマレット型パター。ヘッドはストローク中の高慣性モーメントと安定性を実現するよう設計されているため、ストロークを通してフェースを開閉させるのではなく、ストロークのラインに対してクラブをよりスクエアに保つ選手向きの作りとなっている。

カウンターバランスのパターは、標準的なパターよりも長尺になっており、両手の周囲の重量を増すことで、ストローク中の安定感とコントロール性を高めることのできる重いヘッドの使用を可能としている。

トーマスが異なる長さのパターを試すのは、これが初めてではない。通常は標準的な34.5インチのパターを使用しているが、2022年にはアドレスで腕をより楽に垂らし、ストロークを通じてより自由にスイングできるよう、33.5インチと34インチのパターを試している。しかし、今回は逆の方向へと進んだ。

プロトタイプのPHANTOM X 9(提供:GolfWRX)

PGAツアーのレギュラーシーズン残り2試合となる「3Mオープン」を迎えた時点でフェデックスカップランキング75位。プレーオフシリーズに進めるのは、次週「ウィンダム選手権」終了時点でトップ70に入った選手のみだ。

TPCツインシティーズでのこのパターのデビュー戦は、悲喜こもごもの内容となった。出だし2ホールで12フィート(約3.7メートル)以内のパットを立て続けに外すと、その後、パー5の18番を3パットのパーとした。この日最大のハイライトは、パー4の9番で決めた40フィート(約12.2メートル)のバーディパットだった。それでも、トーマスはグリーン上でフィールド平均に対して「1.07」ストロークを失っている。

第1ラウンドは2アンダー「69」でプレー。「序盤はパットを決めようと、少し自分自身にプレッシャーをかけ過ぎたと思う。それでも、バックナインではいくつか素晴らしいパットを決め、タフなコンディションの中、それなりのラウンドに持ち直すことができたね」と話した。

過去7シーズン連続でトップ30による最終戦「ツアー選手権」に出場し、2017年にフェデックスカップ年間王者にも輝いているが、今季は未勝利。シーズンのトップ10入りはキャリアワーストの3試合にとどまる。パットのスコア貢献度を示すストロークゲインド・パッティングでランク159位と低迷ぶりが際立つ。

開幕前、トーマスは現状を受け止めるように言った。「これは少しばかり自分自身のことについて知り、自分自身を鼓舞し、より良い選手になるチャンスなんだ。というのも、このゲームで(何もせずに)もらえるものなんて、何ひとつない。僕はここ5、6年、フェデックスカップを制覇する絶好のチャンスを握っていたけど、今はプレーオフ進出を果たそうと頑張っている。このスポーツは、そういうものだということ。これは誰に対しても起こり得る。とにかく出場して結果を残さなければならないし、僕はこの2週でそれをやろうとしているんだ」

(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)

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