33年に一度、ご神体移す 庄川・弁財天社

弁財天社に運ばれるご神体=砺波市庄川町庄

  ●御開扉大祭始まる、29日から公開

 砺波市庄川町庄の市指定文化財「弁財天社」で33年に一度、ご神体を公開する御開扉(ごかいひ)大祭が28日始まった。初日は遷座祭が営まれ、奉賛会員や宮総代ら約100人が、ご神体を厳かに弁財天社に運び入れ、庄川流域を守る水神を敬う準備を整えた。ご神体は29日から公開される。

 ご神体を安置する雄神神社から約800メートル離れた弁財天社に移された。藤井秀嗣宮司ら神職9人による神事の後、加口正樹責任総代や天狗に扮した奉賛会員を先頭に、地元の住民や巫女姿の児童生徒らが行列となり、ご神体を唐櫃(からびつ)と呼ばれる道具に入れて運んだ。弁財天社前の仮設拝殿で、児童生徒が浦安の舞を奉納した。

 藤井宮司は、ご神体は波を泳ぐ2匹の龍と女神の像だと紹介し「優しい像だが、機嫌を損ねて災難が起きないよう丁寧に祭りを営みたい」とあいさつした。奉賛会の武田武美会長は「庄川の治水と豊作を祈願し、水の恵みに感謝する気持ちを伝えたい」と話した。

 御開扉大祭は第21回を数え、今回は30日まで、14団体による獅子舞や餅まき、五穀豊穣(ごこくほうじょう)の祈願祭などが営まれる。

 庄川弁財天については、前田家ゆかりの逸話が残っている。1585(天正13)年の大地震で大洪水が発生した際、川の流れの中に、樹木が繁茂した小島が残り、被害を最小限にとどめた。これを見た加賀藩2代藩主前田利長が小島に弁財天をまつるよう命じたと伝わる。弁財天社はその後の洪水で現在の雄神神社がある中山間地に移転した。

浦安の舞を奉納する児童、生徒

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