<金口木舌>多様化への順応

 その道で時代を象徴するような存在は、元号付きの異名を取ることがある。「令和の怪物」「令和の歌姫」「令和の爆笑王」。看板倒れも、うなずけるものもあり、それぞれだ

▼6月下旬、読谷村高志保で閉店していたスーパーが復活するというので足を運んだ。人々が集う地域の拠点として「令和のマチヤグヮー」を目指すという

▼今の時代、買い物だけならネットスーパーなどで事足りる。時間やお金を無駄にせず、「時間対効果」(タイムパフォーマンス)を追求すれば、カートを押しての買い物は無駄。実店舗は「時代遅れ」とも思える

▼開店の日、改めて店内をのぞいた。「久しぶり」「元気ね?」。地域の人々が集いユンタクを楽しんでいた。テーブルの下にはかくれんぼする子ども。それを見てほほ笑む高齢者の姿があった

▼QRやバーコードなど多様な決済方法を導入し効率化を図りながら「ゆっくりレジ」も取り入れるなど、あらゆるニーズをつかもうとしている。多様化した価値観に順応する「令和のマチヤグヮー」。時代に合った看板だ。

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