大分の家庭料理店、東京・虎ノ門で評判 大分市出身の松下さん経営「魅力発信したい」【大分県】

東京・虎ノ門に料理店を開いた松下彩可さん(右)=東京都港区
イベント「大分スペシャル」では、ナスとニガウリのこねりや、きらすまめしなどの郷土料理が並んだ

 【東京支社】大分市古国府出身の松下彩可(あやか)さん(37)=東京都千代田区在住=が東京・虎ノ門に開いた料理店「imakara(いまから)」が評判になっている。県産食材などを使った家庭料理を提供し、ランチタイムは行列ができる。26日には、えりすぐりの食材を使った郷土料理と県産酒を紹介するイベントを開催した。松下さんは「家庭料理を通じて大分の魅力を発信したい」と話す。

 高校卒業後、大東文化大文学部書道学科(東京都)に進んだ。当初は教師を目指していたが「子どもたちに夢を与えられる活動ってなんだろう」と考えるようになり、生きる基本となる「食」をテーマに起業することにした。

 「私自身、上京してからいつも大分の母の味を思い出していました。食べる人の体を思い、いたわってくれるのが家庭料理。子どもから大人まで多くの人に、そんな料理を届けることができれば。お客さまがわが家に帰ったような、ほっと安心する空間をつくるのが理想です」

 都内の飲食店で働きながら資金をため、今年3月に開店した。落ち着いた雰囲気の店内はテーブル4卓とカウンターが4席。昼は定食、夜は一品料理やコースを提供する。ふるさとの味にこだわり、食材はシイタケやカボス、地鶏などを取り寄せている。松下さんの思いに共感した地元の食品メーカーも協力している。

 今月26日に店で開いたイベント「大分スペシャル」では、立松食育研究所(大分市)の立松洋子さんが献立作りや調理を支援。ナスとニガウリのこねり、きらすまめしなどの郷土料理が並んだ。在京の県関係者ら約80人が訪れ、「懐かしい味を楽しめた」と好評だった。

 厨房(ちゅうぼう)では、主婦や副業を持つ人も活躍している。「働いている私たちも、自由で楽しくありたい。これからもお店を舞台にいろいろなイベントを企画し、お客さまとスタッフが一緒になってわくわく、どきどきできるお店に成長していければ」と、夢を広げている。

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