資源ごみ、収集3カ月で年間想定量超え 新分類「草・木類」、対象外多く職員が手選別 京都

山積みになった刈り草や落ち葉。堆肥化で引き取られるまで、ビンなどの仮置き場で保管している(亀岡市東別院町・エコトピア亀岡)

 京都府亀岡市が4月から家庭ごみの「草・木類」を「資源」として分別収集し始めたところ、6月で年間収集見込み量の「100トン程度」を超えた。収集後、堆肥やチップとして再利用する取り組みに、市民がかなり協力している模様だ。ただ堆肥化できない大量のネギなど農業系ごみが交じったり、ごみ袋の開封作業に難渋したりと、収集現場は想定以上の「資源」に苦戦中。資源循環型の社会づくりへ、市は手探りを続けている。

 市の草木類分別収集は月1回行っており、「刈り草・落ち葉」は45リットル以下の透明な袋、「剪定枝・生木・材木」は基本的にひもでしばり、それぞれ資源ごみ収集場所に出す。これまで収集したのは計約126トン。うち4、5月分の「刈り草・落ち葉」30トンは堆肥化に取り組む市内の有機農家へ1キロ0.5円で売却した。堆肥化できない「剪定枝・生木・材木」35トンは京都市伏見区の再資源化業者に1キロ14.3円を支払い、製紙や燃料のチップに再生してもらっている。

 もともと市は、家庭ごみ組成調査を踏まえ年間約100トンの草木類ごみが発生すると試算し、収集制度を設計した。想定を3カ月で超える収集量は、市民の高い意識の表れともとられ、市資源循環推進課の担当者は市民の高い環境意識に感謝し「農地の刈り草など、今まで現地で処分していたものも善意で『資源に』と協力してくれているのかも」と市民の行動をおもんぱかる。ただ「収集するのはあくまで家庭ごみ。農業や事業で出たごみは対象外なのですが…」と複雑だ。

 分別もまだ徹底はされておらず、収集された「刈り草・落ち葉」袋の中にはチップ化すべき枝も交じる。さらにやっかいなのは、そもそも資源化できない大量のネギやタケノコの皮、土の入った苗ポットなどの混入だ。野菜丸ごとは分解に時間がかかるほか、花や竹なども堆肥化できず、職員が手選別し、焼却処分するしかない。

 さらに草木を入れるビニール袋も、収集作業で意外な手間となっている。ビニールが混入すれば堆肥化できないので、職員は収集時、一つずつ袋を破りパッカー車に投入する。「破れないように袋が二重三重になっている」ことも多く大きな負担で、とげのある植物で職員がけがをしたケースも出た。

 ただ臭いを抑えるため袋を二重三重にしているケースもあるとみられる。草木類収集への質疑が相次いだ市議会の6月議会一般質問では、ある市議が「ずっと家に置いておくと衛生上の懸念があり、収集日を月2回に増やせないか」と質問。市は収集体制の問題から「しばらくはこの体制を維持する」と答えるにとどめた。

 また「刈り草・落ち葉」を堆肥化している場所が住宅に近いため、ある市議は「素晴らしい取り組みだが、臭いの苦情が出ている」と指摘。市は「別の場所を探したい」と検討を約束した。堆肥化を巡っては収集量が多すぎたため、予定していた1農家では処理しきれず、市は別の売却先も探している。資源循環の挑戦は始まったばかりだ。

 同課は「まず分別ルールの周知に努め、将来的には堆肥を市ブランドとして販売し、チップ化も市内でできるようにしていくのが理想」としている。

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