未曽有の災禍、現代につながる原点 県立歴史博物館で特別展 横浜正金銀行と周辺の惨状など解説

横浜正金銀行と周辺の惨状を示した写真(県立歴史博物館所蔵)

 9月で発生から100年を迎える関東大震災の特別展が29日、横浜市中区の県立歴史博物館で始まった。当時の体験を語り継ぐことが難しくなる中、震災の実相を示す同館や個人所蔵の資料を約200点展示。未曽有の災禍とその後の復興を現代につながる「原点」の一つと位置付け、あらためて目を向ける意義を伝えている。

 1904(明治37)年に完成した同館の建物は23(大正12)年9月1日の震災当時、旧横浜正金銀行本店だった。猛火に襲われて館内は焼失したが、地下室に避難した行員や避難者ら約340人は一命を取り留めた。復旧後、博物館として再出発を果たし、今も「震災の生き証人」であり続けている。

 特別展では、正金銀行の状況や周辺の惨状を写真などを用いて解説した。県内や周辺地域の被害についても各種の記録や図面などから浮かび上がらせている。

 宮城県丸森町の小学校の日誌では、9月1日のページで「東京横濱方面未曽有ノ大震災 殆(ほとん)ト全滅ニ近シ」と記録しており、遠方にも大きな衝撃が広がったことを示している。

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