開湯伝説勇壮に表現 山代大田楽、30日まで

勇壮な演舞を披露する出演者=加賀市山代温泉

  ●湯入れ行列180人演舞

 加賀市山代温泉の祭事「山代大田楽湯入れ行列2023」(北國新聞社後援)は29日、同温泉で2日間の日程で開幕した。約180人が温泉街中心部を練り歩きながら開湯伝説を表現した演舞を勇壮に繰り広げた。今年は五十音図発祥の地にちなんだダンスも披露され、観客は華やかな活劇に心を躍らせながら湯の街の起源に親しんだ。

 行列は服部神社の神聖な火を運び込む「火入れの儀」で幕を開け、色とりどりの衣装をまとった山代中の1年生約60人が神楽「番楽」を披露した。

 たいまつを掲げて湯の曲(が)輪(わ)まで移動した一行は、古総湯を取り囲むようにして番楽を舞い踊った。温泉水をおけに流し込む「湯入れの儀」が営まれた後、カラスの面を着けた大人が温泉に浸したササを振り回す「湯がけ番楽」を舞い、観客を魅了した。

 演舞の中心を担う市民グループ「山代わざおぎ」のメンバーが腰鼓(こしづつみ)や編木(ささら)、銅(どう)拍子(びょうし)を打ち鳴らす「総田楽」に続き、出演者全員が「番楽」を繰り広げ、盛り上がりは最高潮に達した。

 今年は新たに地元のチアダンスチーム「スパークル」が「あいうえおんがく」など4曲を披露し、五十音図の創始者とされる明覚上人ゆかりの地にちなんだ「あいうえおの郷(さと)」をアピールした。県内を拠点に活動する女性和太鼓チームDIA+(ダイアプラス)も力強い演奏を披露した。

 山代大田楽は平安から室町時代にかけて流行した「田楽」を現代風にアレンジした楽劇で、1996年から湯の恵みへの感謝を込めて演じられている。

 祭事は3年連続で観客席を設けない行列形式での開催となった。30日も午後7時半から行われる。

© 株式会社北國新聞社