後藤新平に4メートルの手紙 水沢の記念館、複製提供へ

約4メートルに及ぶ伊藤野枝の手紙を読む伊藤信之さん

 女性解放運動家の伊藤野枝(1895~1923年)の没後100年記念行事を企画する福岡市の団体メンバーは26日、野枝が政治家後藤新平に送った手紙を9月の本番で紹介するため奥州市水沢を訪れ、準備作業に励んだ。

 「伊藤野枝100年プロジェクト」のメンバー伊藤信之さん(69)=福岡県糸島市=が所蔵先の後藤新平記念館で解説を受け、水沢地区センターへ移動。学芸調査員らの協力で約4メートルの原本を撮影した。

 野枝は家父長制に基づく価値観にあらがい、文芸誌「青鞜(せいとう)」の2代目編集長を務めるなど女性の自由と権利を訴えた。関東大震災直後の混乱の中、パートナーで社会運動家の大杉栄とともに憲兵隊に殺害された。

 手紙は1918(大正7)年3月9日付で、大杉が拘禁された理由や警察の対応をただすため、内相の後藤に面会を求める内容。「あなたは一国の為政者でも私よりは弱い」と結ぶなど、野枝の物おじしない性格や行動力がにじむ。

© 株式会社岩手日報社