パン好き注目!すでに行列「大人気シェフの新店パン屋」BAKER Aoyagiの“必食パン”

【BAKER Aoyagi】 ベーコンエピ(?)を作っていた青柳吉紀シェフを、いきなり取材させていただきました

青柳吉紀シェフが駒場に『BAKER Aoyagi』をオープンした。

どうやらひとりでパンを焼いているらしい。

取材依頼のメールを送ったけど、忙しくて読んでもらえないだろうなあ。

そう思い、直談判することにした。台風の日に駒場へ向かった。

【すべての画像ギャラリー】駒場の人気シェフ新店パン屋

いつもなら開店と同時に行列ができるそうだが、台風の大雨で数名しか先客がいなかった。

【BAKER Aoyagi】 細長い店内の入口に焼きたてのパンがたくさん並んでいる

「お時間のあるときに取材をお願いできればと思っているのですが」

「台風でお客様も比較的少ないので、今日ならいいですよ」

取材交渉に伺った予定が、いきなりアポなし取材に。ヤラセではございません。

【BAKER Aoyagi】 台風が接近中だったこともあり、行列なしでした

パンを作っている青柳シェフに話をお聞きしたのだが、その前に。

青柳シェフは原宿にあった『なんすかぱんすか』を2022年9月に閉店。

同年10月、麻布十番に開業したヴィーガンパン屋『Te cor gentil(テコールジャンティ)』の監修シェフに就任。

小サイトでも『テコールジャンティ』で働く青柳シェフを取材させてもらった。

2023年3月に『テコールジャンティ』を退き、5月に『BAKER Aoyagi』を開店。

オープン前にラインナップを考えたが、開業後すべてのラインナップを修正したという。

【BAKER Aoyagi】 マルシャン ド ヴァン

「原宿時代はバゲットを求めてくる人はいませんでした。ところが、ここはバゲットやサワードゥなど、ヨーロッパテイストの本格的なパンを求めるお客様が多いんです。お客様のニーズの高いパンを焼かなければと思っています」

そのバゲットを「マルシャン ド ヴァン」(350円)という名で販売している。

【BAKER Aoyagi】 マルシャン ド ヴァン。購入した翌日、軽く焼いてバターをぬったが、おいしかった

「原宿時代もバゲットを焼いていましたが、自分としては納得できていませんでした。いまはある程度満足できるバゲットを焼けていると自負しています」

加水率が高いためモチモチの食感が愉しめる。

ユニークなネーミングのパンが粒ぞろい

【BAKER Aoyagi】 これが水パン

原宿時代、加水率が高いパンを「水バゲット」の名で販売していた。その生地を小さくしたものを「水パン」(300円)の名でリバイバル。

水風船みたいな名前だとシェフに伝えたら、水パン誕生の秘話を教えてくれた。

【BAKER Aoyagi】 一見メロンパンのような水パン

「店のロゴをデザインしてくれた人が『水バゲット』を『水パン』と間違えまして(笑)。食べる方がそれぞれイメージを膨らませてくれればいいかなあと思い、『水パン』でいくことにしました」

加水率が135%でモチモチ。湯種製法のパンのような食感。

先述したように青柳シェフはヴィーガンパンのレシピを開発した。

グルテンフリーと低糖質のパンを作ったことはあったが、乳製品や肉を使わないヴィーガンは初経験だった。

【BAKER Aoyagi】 なんすかぱんすかでの経験値に、テコールジャンティで培った知識を加えたヴィーガン全粒粉ぱん

新店舗では、ヴィーガンの経験を活かしたパンを焼きはじめた。

その名もズバリ、「ヴィーガン全粒粉ぱん」(500円)。

「原宿時代、全粒粉のパンを作っていましたが、ヴィーガンではありませんでした。日常的によく食べる食パンに、健康に配慮したヴィーガンの思想を取り入れることにしました」

『なんすかぱんすか』で作っていた全粒粉のパンをリニューアル。

「製法と粉の配合を変えるだけなので簡単に作れるだろうと思っていましたが、失敗の連続。

粉をたくさん無駄にしました。でも、そのおかげでおいしい食パンが完成しました」

当日はそのまま食べるのがおすすめ。

「厚く切って食べるのが好きです。皮がカリカリでおいしいと思います。翌日はトーストしてください。バターが好きなので、トーストした食パンにバターをぬります」

【BAKER Aoyagi】 シェフが教えてくれたように、ヴィーガン全粒粉ぱんを厚く切り、トースト後、バターをぬっておいしくいただきました

加水率が高く、ぷにゅんぷにゅんで、モッチモチ。

翌日トーストしたところ、皮が思った以上にカリカリになった。

5回もバージョンアップしたセルワッサンが焼き上がった

【BAKER Aoyagi】 焼けた瞬間のセルワッサン
【BAKER Aoyagi】 焼き立てのセルワッサン。見るからにおいしそうでしょ?

シェフが大好きだというバターを使った「クロワッサン」(320円)もおいしかった。

皮がカリカリで、芯がモチモチ。

【BAKER Aoyagi】 5回も改良した、青柳シェフの自信作、セルワッサン

バターの香りが鼻孔をくすぐる。底の部分に感じた塩味が心地よかった。

「昔考えた『セルワッサン』(塩のクロワッサン)の5回目の改良バージョンになります。バターのブレンドと、生地に使う塩の使い方を工夫しました」

【BAKER Aoyagi】 セルワッサン

『セルワッサン』は青柳シェフのスペシャリテ。バターの風味と塩味に感動するはず。

ほぼキーマカレーのスパイシーなカレーパンにびっくり!

【BAKER Aoyagi】 牛すじがセンターという名のカレーパン

前職で作っていたものと真逆なのが、「牛すじがセンター」(450円)だろうか。

『テコールジャンティ』のカレーパンの生地と食感こそ同じだが、具材を全面改訂。

【BAKER Aoyagi】 揚げたてのカレーパンは絶対うまいはず

「牛すじと牛すね肉を使ったキーマカレーに近いです。子どもが食べても大丈夫なように辛くしていませんが、スパイスをガツンときかせました」

青柳シェフがいうように、ほぼキーマカレー。

確かに辛くはないが、かなりスパイシー。塩もきいている。

【BAKER Aoyagi】 ほぼキーマカレーでしょ? 温めて食べるともっとおいしいはず

煮込んだ牛すじが口のなかでプルンブルンと弾ける感じ。

牛すじのキーマカレーをはじめて食べたけど、カレー好きもカレーパン好きも食べてほしい。

乳製品を使うのが当たり前だったパン職人にとって、ヴィーガンのパン作りは手足をしばられたようなものだったのではないか。

けれど、悩みながらヴィーガンパンのレシピを考えるなかで、その技術を自分の血と肉にかえた。

【BAKER Aoyagi】 青柳シェフがひとりで黙々とパンを作っていた

『BAKER Aoyagi』は、現時点での青柳シェフの集大成といえるのではないか。

【BAKER Aoyagi】店舗概要

住所/東京都目黒区駒場4-6-2 Y-5 yamagatayaビル 1F

営業時間/11:00~20:00(売り切れ次第閉店)

定休日/月火曜、水曜(隔週)

(うまいパン/ 中島 茂信)

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