(どうせ私なんて…)「彼氏と3ヶ月レス」だった女性がアプリを使ってわかったコト

大好きな彼氏なのに、ベッドでスキンシップを楽しめないし求められない、そんな状態では好かれている自信を失いますよね。

レスのストレスから浮気に走る人はいますが、浮気はどんな理由があれ責められるのは避けられません。かえってダメージを受けることになります。

「どうせ私なんて」とヤケになったある女性は、ほかの男性と関係を持つ前にあることに気が付きました。

女性が不毛な関係に走りそうになった理由とは…

「3ヶ月レス」でも平気に見える彼氏に

Aさんは27歳、交際が2年になる彼氏とは「レスであること以外は順調」と話していました。

どうしてベッドでの時間がなくなったのかきっかけを聞くと、Aさんは視線を落としながら答えてくれました。

「お互いに仕事が忙しくてなかなか会えなかった後の久しぶりのデートで盛り上がり、流れでホテルに行きました。

居酒屋でふたりともたくさん飲んでいて、彼のほうが、その、ちゃんとできる状態にならなくて。

『酒のせいだ、ごめん』と彼は笑うのですが、私のほうは久しぶりだし抱き合える期待もあったし、『つまらない』『がっかり』と責めてしまったのですね。

それで彼氏が『こんなときもあるだろう』と怒り、その日は気まずい空気のまますぐホテルを出たのですが、私の部屋で寝るときもまったく触れてきませんでした。

それから彼氏のほうから誘われなくなって、私が甘えてみてもかわされて、スキンシップがないままただ寝るだけになっています。

キスやハグはするのですが、そういう雰囲気になるのを避けるみたいに彼氏がすぐやめちゃうのがストレスで、私からも求めなくなりました。

その状態でもう3ヶ月ほど経ちます……」

Aさんの悩みは、レスそのものより「それでも平気で自分と付き合う彼氏の気持ち」でした。

LINEや電話では好きだと言うしデートに行けば手もつなぐ、でもふたりきりのときは軽いスキンシップで留めてベッドで愛情を確かめ合う機会を持とうとしない。

そんな状態で「付き合っている」といえるのかどうか、彼氏がレスでも平気な様子で自分と過ごすことに、Aさんは戸惑いを覚えていました。

否定できない「浮気」の可能性

「3ヶ月も何もしないって、男性は平気なのでしょうか」

Aさんは、彼氏が浮気している可能性も考えていました。

年齢が若く健全な心身であれば、好きな彼女と一緒にいて欲を持たないのは考えにくく、自分に手を伸ばさないのであればほかの女性に欲を向けている不安はどうしても拭えません。

ホテルでの一件前は「デートのときは当たり前に抱き合っていた」からこそ、彼氏の変化にAさんは悪い予想を抱いていたのですね。

「浮気をしているなら、Aさんを放置する時間が出てくるはずだけど」と答えると、「そこなんです」とAさんは眉を寄せます。

「いつLINEしても普通に返してくれるし、週末も以前と変わらず会っています。

浮気をしている様子はまったくなくて、でもそれなら余計に、そっちのほうはどうしているのかなって」

別の女性と会っている気配がないことが、かえって「欲の処理」についてAさんを混乱させていました。

レスであること以外は幸せだと言い切るAさんですが、それがない現状はやはり寂しく、彼氏の気持ちがわからないのも不安で、どう向き合えばいいのか自分の在り方が見えなくなっているのですね。

ホテルでの自分の言動については何度も謝ったけれど、「もういいよ」と返されてすぐ別の話題を出されるため、「実際に彼氏がどう思っているか怖いです」と小さな声で漏らしました。

好きだから交際を続けてくれているのだ、とは思うけれど、レスのきっかけになったであろう自分について正面から話し合ってもらえず、Aさんにとってはあの日のことは何も解決していません。

Aさんの気持ちを考えれば、何とかしたいと思っても彼氏がそうさせてくれないわけで、ストレスが溜まるのは想像できました。

「それで」と、Aさんはため息をつきながらふたたび下を向きました。

「私が浮気したくなって」

「欲求不満の解消」でしかない浮気

「え?」思わず手を止めてAさんを見ると、「いえ、やってはいないです……やっぱり無理だと思って」とAさんは目をそらしたまま答えました。

「……」

「寂しいから」

小さな声だけれどきっぱりとそう口にするAさんの葛藤は、自分と向き合ってくれないままの彼氏への不安と不満ではないでしょうか。

マッチングアプリを使えばすぐに会えそうな「軽い男性」はたくさんいて、むしろ「それを楽しむだけの相手を探している」人も多く、Aさんにとっては格好の的。

「したかったの?」と尋ねると、「……それもあります」とAさんは答えました。

Aさんも20代の健康な女性なら、そんな欲を抱えるのは当たり前であり、それが叶わない彼氏に隠れて浮気したくなる気持ちはわかります。

「そのときは、相手をしてくれない彼氏への恨みみたいなものを晴らしたい気持ちがどこかにありました」

それがAさんの本音であり、レスでOKとされる自分を見れば自信をなくすのは当然で、あてつけでも報復でも、ほかの男性と肉体関係を持つことで不満を晴らしたくなることもある、と思います。

Aさんは実際にマッチングアプリで何人かの男性とやり取りをしたそうです。

「話の合う人がいて、彼氏の愚痴をつい吐いてしまいました。

そうしたら、『彼女を放っておくなんて男じゃないな』『別れてくれないのも残酷だよね』と返してくれて、気分が良くなったのですね。

私がしたことは隠していたけれど、『ほら、悪いのは彼氏のほう』って納得できてしまって。

この人は最初からその相手を探していて、『俺でよければどう?』と誘ってくれたので、その気になりかけました」

寂しさや欲求不満を抱える自分を受け止めてくれる男性がいる。

Aさんにとってはそれがストレスの逃げ道であり、「どうせ私なんて」となかばヤケクソな気持ちで、この男性とやり取りを重ねていったそうです。

「その自分」は一生彼氏に見せられないから

「でも会わなかったのだね」と尋ねると、Aさんはしばらく黙った後で「そんな自分、彼氏には一生見せられないじゃないですか」と思い詰めた声で答えました。

浮気はできる、でもそれをやってしまえばどうなるか、「本当に会わない?」とマッチングアプリで知り合った男性に聞かれたときに気がついたといいます。

「結局、浮気したなんて自分からは絶対に言えないですよね。

別れてって言われるのは当たり前だし、レスだからほかの男に走った自分を彼氏に知られて終わるなんて最悪だし。

浮気したってその自分は一生彼氏には言えない、秘密を抱えたまま付き合うなんてできません。耐えきれなくなっていつか必ずボロが出るだろうなと思います。

私は一体何がしたいのだろう、とすごく虚しくなりました」

「ボロが出る」、浮気は肉体の快楽を楽しめても罪悪感はずっとつきまとい、いずれみずからバラしてしまうだろう。

そんな自分が彼氏にどう見られるか、レスについて話し合わない彼氏にも浮気の原因はあるとはいっても、実際に「別の男性と肉体関係を持った」事実は消えません。

レスの原因もまたAさんが作ったと思われるなら、結局はどこまでも「Aさんが悪い」となるのが客観的な目であり、その自分を想像したとき、Aさんはこの男性と会う気持ちがすっぱりと消えたそうです。

「この人には申し訳なかったのですが、黙って退会しました。

そもそも浮気相手を探すためにマッチングアプリに登録したこと自体おかしいし、絶対に後で後悔する、と思いましたね……」

Aさんはまたため息をついて、スマートフォンに目をやりました。

本当にするべきことは?

それでも、Aさんをここまで追い詰めたことには彼氏にも原因があり、レスについて不満を持っている彼女と向き合わないのは問題です。

「浮気をしかけた、っていうのも言ってはダメですよね」とAさんは暗い表情で言いましたが、そこまで苦しんでいる自分を知ってほしい気持ちもまた理解できます。

どうして彼氏がレスについて話そうとしないのかはわかりませんが、Aさんは正面から何度も謝罪を繰り返しており、その気持ちを受け入れないばかりか以前と変わらず交際を続けることは、マッチングアプリの男性の言葉ではないけれど確かに「残酷」ともいえます。

彼女に不安や不満を抱かせるのが彼氏の「復讐」だとすれば、不毛で不健全、そんな彼氏をAさんが受け入れる必要もまたありません。

Aさんの口から「彼氏と別れる」という言葉が出ないことが筆者はずっと気になっていましたが、今の状態を変えるのであればどうしても彼氏の本心を確かめるほかなく、「こんな状態はつらいから、別れたい」と伝えることをAさんには勧めました。

「……」

そう言われることをAさんは想像していたようで衝撃を受けた様子はありませんでしたが、「それしかないですよね」とまた小さな声で答えました。

「だって、あなたはこのまま彼氏と付き合っていけるの?」と尋ねると「難しいです」と吐き出すように口にするのは、浮気まで考えて実際に行動を起こしてしまった自分への後悔もあるのではと感じます。

どうして別れを考えないのか、レスの原因は自分が彼氏の状態を責めたことにある、と思えば、「無責任だからできない」となるのも理解できました。

それでも、関係は対等であり解決したい彼女の気持ちを彼氏がないがしろにし続けるのであれば、幸せな交際は叶わないといえます。

向き合わないのであれば別れを選ぶ自分を伝えるのは、「努力した結果」であり、そこに罪悪感を覚える必要はないと筆者は考えます。

「客観的に見れば、その一件より今は謝るあなたを受け入れない彼氏のほうがおかしいと思う」と言うと、Aさんは黙って目をつぶりました。

「関係を正常に戻す」のはふたりの努力

その後、Aさんからは「別れたいと言ったら彼氏がやっと話し合う気になってくれて、意地を張っていたと謝ってくれました」と報告をいただきました。

男性にとって、3ヶ月前の久しぶりのデートの夜、彼女に不満を与える自分を目の当たりにするのはつらいことで、それがデリケートな場面ならなおさら傷は深く、責めたことを彼女が謝ってくれてもなかなか受け入れがたかった葛藤はわかります。

ですが、その結果彼女が別れを選ぶことをどうして想像しなかったのか、深いスキンシップを避けられながら溝のある関係を続ける彼女の気持ちを無視し続ければ、こうなるのは当然です。

それでも、彼女の覚悟を見てやっと自分のかたくなさから降りる決意が生まれ、謝罪できたのは、彼女への愛情が確かにあったのだと思います。

Aさんは浮気に走りそうになったことは「言いません」とはっきり口にしていましたが、その言葉通り黙ったままで今も交際を続けています。

一度おかしくなってしまった関係を元に戻すには、ふたりの努力が欠かせません。

その負担を片方に負わせて平然とお付き合いを続けることは、相手を傷つけるばかりかそんな姿を見せることで自分の評価を下げるのも避けられず、いずれ終わりを迎えます。

すれ違いが起こったとき、その解決をふたりで一緒に考えられることが、幸せな交際の条件。

ふたたび心を開いてお互いを受け入れる努力が、愛情をより深くします。

レスになった原因が自分にあるとしても、謝罪を受け入れずスキンシップを避ける彼氏を見れば自信を失うのは当然です。

それでも、一度浮気をすればその傷はいつまでも自分を苦しめるため、しないことが最善。

問題の解決をともにできないのであれば別れを選ぶ覚悟が、自立した関係といえます。

(mimot.(ミモット)/ 弘田 香)

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