金星が沈む瞬間に輝く緑色…「グリーンフラッシュ」撮影 福井県福井市の男性が貴重動画 天文学芸員「惑星では聞いたことがない」

赤く三日月形に欠けて見えた金星が日本海に沈む瞬間、緑色に変わった=7月21日午後8時24分、福井県福井市浜北山町から米澤裕信さん撮影

 金星が日本海に沈む間際に一瞬だけ緑色に輝く光景を、福井県福井市の自営業、米澤裕信さん(72)が動画に収めた。日没や日の出のごくわずかな時間に条件が整った時だけ見ることができる太陽の「グリーンフラッシュ」と同じ現象で、金星での撮影は貴重という。

 米澤さんは北陸地方が梅雨明けした7月21日夜、日本海の方に雲がないのを見計らって、金星が西の水平線に沈む瞬間の撮影に挑んだ。福井市浜北山町の越前水仙の里公園駐車場で、口径15センチの反射望遠鏡にスマートフォンを取り付けて準備。「金星の入り」の午後8時24分にスマホで動画撮影した。

 動画では、赤く見えていた金星が海面に反射した後、最後の2秒ほどで黄色から緑、さらに青っぽく瞬時に変化する様子が分かる。米澤さんは「太陽のグリーンフラッシュは1度見たことがあるが、惑星は初めてでびっくりした」という。

 グリーンフラッシュは、地球の丸みに沿った大気がプリズムのように働き、太陽光を屈折させ、赤や黄よりも波長の短い緑の光だけが届くことで起こる。福井市自然史博物館の天文担当の学芸員、加藤英行さん(37)も「そもそも惑星が沈む瞬間に注目すること自体、非常におもしろい。さらにグリーンフラッシュとは聞いたことがない」と驚きを隠さない。

 米澤さんは今年1月、北緯37度より北では見ることができず、冬の夜空で南の地平線すれすれに現れる1等星「カノープス」を北緯36度の福井市から写真に収めることに成功。次の目標として「金星の入り」を狙っていた。「『土星の入り』や『木星の入り』などにもチャレンジしていきたい」と話している。

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