【第2回WUBS】東海大&白鷗大、いよいよ世界の強豪との対戦へ——WUBS開幕迫る

世界の7つの国/地域から、それぞれの大学バスケットボール界のチャンピオンあるいは話題の強豪を招き、日本のインカレ優勝・準優勝チームとともにノックアウト方式のトーナメントで王座を競うWUBS(Sun Chlorella presents World University Basketball Series=ワールド・ユニバーシティー・バスケットボール・シリーズ)。この注目の大会が国立代々木競技場第二体育館で開幕する8月10日(木)まで、すでに11日を残すのみとなった。これまで月刊バスケットボールWEBで各出場チームを特集してきたが、開幕直前となり大会特設サイトも立ち上げた今、東海大と白鷗大の直近の様子をお伝えしたい。

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東海大――強靭なディフェンス力を武器にファイトする集団に成長中
昨年のWUBSで2位となり、今回はインカレ優勝チームとして出場する東海大は、関東大学バスケットボール選手権(スプリングトーナメント)で7位に入った。前年の大学王者には満足できる結果ではなかったかもしれないが、昨年の同大会でベスト8入りを逃していたことを思えば、春先の時期として決して悪くはない結果と見ることもできる。

その後の新人戦では準々決勝で、最終的に同大会チャンピオンとなった大東文化大に敗れたものの、順位決定戦で5位に入り第1回全日本大学バスケットボール新人戦(新人インカレ)に出場。グループ戦を勝ち上がることこそできなかったが、グループ内では2勝1敗で、3試合の平均得点が100.0、失点の方は52.7と内容として決して悪くない戦いぶりを見せていた。

キャプテン黒川虎徹のリーダーシップの下、東海大は着実な成長を遂げている模様だ(写真/石塚康隆 月刊バスケットボール)

この経過について陸川 章監督は、「必要なことが必要なときに起きていると思っています」と冷静な見方を語る。「(新人戦では)リバウンドを獲られて3Pショットを気持ちよく決められて、全然ディフェンスのチームとは言えないあり方だったと思います」という厳しい視点とともに、「我々がどういうチームかをみんながわかってからは、いいゲームができていた」と確実な成長の兆しも感じている様子だ。「痛い目を良い薬にして、我々がどういうチームかというのを確認し、そこを徹底的に強くしていこうと思っています」

現状のチームは「4年生を中心にピリッとした練習ができています」とのこと。キャプテンの黒川虎徹(4年、ポイントガード)が、FISUワールドユニバーシティゲームズ(2021/成都)に出場するU22日本代表に名を連ねているため、7月28日から8月8日までチームを離れるが、「残る4年生の西田公陽、元田大陽、江原信太朗らがチームを引っ張っていってくれると私は信じています」とその期間自体も成長のステップにする意気込みだ。「1・2年生も加わって(ここまでの)悔しさをWUBSで晴らすぞという意気込みで、挑戦してほしいと思っています」

相手ビッグマンへのディフェンスやリバウンドでの献身が光る江原信太朗。黒川らとともに最上級生として責任ある立場だ(写真/石塚康隆 月刊バスケットボール)

轟 琉維は1年生ながらスプリングトーナメントで総スティール数10本(平均2.0本)が大会トップタイ、そうアシスト数14本(平均2.8本)も同4位といきなりインパクトのある活躍をみせていた(写真/石塚康隆 ©月刊バスケットボール

初戦の相手となる国立政治大(チャイニーズ・タイペイ)とは、昨年のWUBSでも対戦し、90-74で勝利を収めている。印象は「非常にフィジカルが強くてガンガンアタックしてくるし、留学生も非常に大きくて力があった」というもの。これはかつてチャイニーズ・タイペイに遠征してプレーしたとき感じたのと同じ傾向だというが、そこは自らの強化のポイントでもある。「我々には大きさはないんですけど、昨年もフルコートのディフェンスで相手の勢いを止めました。そこから勝負したいと思います。我々は、ここだけは他に負けないというぐらいフィジカルトレーニングをしていますので、どれだけ通用するか試したいと思っています」

それとは別の視点からも、昨年の結果を受けてリベンジに燃えて来日する国立政治大との一戦はかけがえのない成長の機会とみている。「去年勝っていて、相手のコーチも知っています。非常にいいチームで、今度こそ負けるものかとやってくるわけです。だからこそお互いに成長できるわけですから、まず自分たちの持ち味を出してファイトしたいですね。何としても勝ちたいですね」。さらにこの一戦に勝てば、次は本場アメリカからやって来る山﨑一渉を擁するラドフォード大と高麗大の勝者が相手。「ちょうどS級コーチの講習会があったときに、若手の日本代表を集めたキャンプがあって、八村阿蓮と一渉に会ったんですよ。そこでも『ぜひやりたいね、お互い頑張ろう』と話したので、実現できたらいいなと思います。

WUBSはどのチームの若者たちにとっても高い意欲を引き出せる舞台。陸川監督は「各国のチームとやってどこが通じて何が通用しなかったか、すべてをぶつけて導き出せるし、それがリーグ戦やインカレにつながると思っています。恐れることなくチャレンジしてほしいですね」と抱負を語っていた。

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\--{白鷗大――悔しい経過を高いモティベーションに変えて臨むWUBS}--

白鷗大――悔しい経過を高いモティベーションに変えて臨むWUBS
一方、昨年のインカレ準優勝チームとしてWUBS初出場の権利を得た白鷗大は、スプリングトーナメントでも準優勝。新人戦ではベスト16にとどまったが、網野友雄監督は「全体的に、チームのかみ合わせが良くなってきていると思います。春の大会が終わって自分たちに何が必要か話し合いながら進んでいて、新人戦と新人インカレ(出場を逃した)を含め悔しい思いをしているのでモティベーションも高いです。いい方向に進んでいると思います」と成長していくチームに対する手応えを十分感じているようだ。

白鷗大の得点源として活躍する脇 真大。彼の存在感は白鷗大の今後の躍進に欠かせない要素だ(写真/石塚康隆 ©月刊バスケットボール)

スプリングトーナメントでの個々のパフォーマンスを振り返ると、脇 真大(4年、フォワード)が総得点部門で大会全体5位タイ(54得点、平均10.8得点)、総リバウンドでも32本(平均6.4本)で9位とハイレベルだったほか、佐藤涼成(2年、ポイントガード)が総アシスト数36本(平均7.2本)で2位タイ、総スティール数6本(平均1.2本が4位タイ)と数字的にも好成績を残している。

また単独チームとは別だが、5月半ばに韓国で開催された第44回李相佰盃日韓学生バスケットボール競技大会の日本学生選抜は網野監督がヘッドコーチを務め、脇と境アリーム(1年、センター)がプレーヤーとして選出された。特に脇は、総得点でチーム2位の32得点(平均10.7得点)の活躍を披露している。6月下旬から7月頭にかけてハンガリーで開催されたFIBA U19ワールドカップ2023では、八重樫ショーン龍(1年、スモールフォワード)が日本代表の一員としてこの世代の歴代最高成績となるベスト8入りに貢献した。

八重樫ショーン龍はFIBA U19ワールドカップ史上最高成績を収めた日本代表の一員。WUBSでも世界レベルのパフォーマンスに期待だ(写真/石塚康隆 ©月刊バスケットボール)

スプリングトーナメント直後のインタビューで網野監督は、土台となるディフェンス面の奮闘に加え得点力の向上を一つのテーマとしていることを話していたが、その点でも学生選抜や日本代表での個々の活躍は、期待を膨らませてくれる要素に違いない。

現在は秋のリーグ戦に向けたチーム作りに励む時期。FISUワールドユニバーシティゲームズ(2021/成都)のU22日本代表を率いる網野監督と、メンバーに選出されている脇、佐藤、境は、7月28日から8月8日まで不在となる。そのためWUBSには帰国直後のせわしない数日を経て臨む形になるが、チーム全体としては、特に新人インカレ出場を逃した中で「(秋のリーグ戦前に)WUBSにピークを持っていくことが一つのいい刺激になっています」と網野監督は話す。

スプリングトーナメントでは総アシスト数(36本、3位)、総スティール数(6本、4位タイ)、総3P成功数(6本、8位)の3部門でトップ10入りした佐藤涼成。FISUワールドユニバーシティゲームズ(2021/成都)のU22日本代表メンバーだ(写真/石塚康隆 ©月刊バスケットボール)

学生選抜や日本代表でプレーしてきたメンバーが複数在籍する白鷗大は、それぞれがつかんだ経験や自信がチーム内に伝播することも期待できるだろう。これもWUBSでは重要になるかもしれない。初戦で対戦するペルバナス・インスティテュート(インドネシア)はインドネシアのプロリーグIBLでプレーするプレーヤーが主力。「昨シーズンの試合を見た」という網野監督は、「あまりサイズはないが、ガードを中心に5人でプレーするイメージ」と話したが、重要なのは相手がどうかよりもいかに自分たちらしくいられるかだとも話している。

「(代表選出などがなく国際経験が少ないプレーヤーだと)相手のことがすごく大きく、強そうに見えてしまうことがあります。これはインドネシア以外でも同じです。そういうふうにならないようにという部分は若干不安もありますね。大谷翔平選手(MLB)の「今日だけは相手をリスペクトするのをやめましょう」のような話でもないですけど、普段通り自分たちの力を出せればと思っています」

白鷗大はペルバナス・インスティテュートに勝利した場合、準決勝で昨年大会の覇者アテネオ・デ・マニラ大(フィリピン)とシドニー大(オーストラリア)の勝者と対戦する。各国の王者を相手にどのようなパフォーマンスでどんな結果を残すか。個々のタレントとしてもチームとしても、秋以降の大会に向け弾みをつける成果を期待したい。

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