黒田氏「次元の違う緩和が必要」 13年の初会合冒頭、日銀議事録

金融政策決定会合後、記者会見で日本経済の現状や追加緩和の理由などを説明する日銀の黒田総裁=2013年4月、日銀本店

 日銀は31日、2013年1~6月の金融政策決定会合の議事録を公表した。同年3月に総裁に就任した黒田東彦氏が初めて議長を務めた4月上旬の会合で、他の出席者から金融政策運営に関する意見を聞く前に「これまでと次元の違う金融緩和を行う必要がある」「できることは全てやる、すなわち戦力の逐次投入は避ける」と宣言していたことが明らかになった。日銀はこの会合で大規模な金融緩和策の導入を決めた。

 会合では議長が副総裁や審議委員の意見を一通り聞き、最後に自らの意見も交えて議論を取りまとめるのが通例。議長が最初に政策の方向性を事実上決定づけるのは異例で、政策を小出しにしていると批判された前任の白川方明氏を意識していたことをうかがわせた。

 一方、白川氏は総裁として最後となった13年3月の会合で、過度な金融緩和の危うさを指摘していた。政府の財政政策が金融政策を左右し、日銀が国債を大量に購入することを強いられるなどして、結果的に日銀の独立性が脅かされることに「非常に危険」と警鐘を鳴らした。

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