初年度無料も…各種がん検診「一人でも多くの人に」 さいたま市の受診率、コロナ前の水準に戻らず

がん検診、コロナ前水準戻らず さいたま市、受診呼びかけ

 埼玉県さいたま市は、がんの定期検診の受診を呼びかけている。がん検診の受診率は10%台を推移し、新型コロナウイルスの影響を受けた2020年度は、受診控えなどから減少した。少しずつ回復傾向にあるものの、コロナ前の水準には戻っていない。市は「受診による早期発見、早期治療が重要。一人でも多くの人に受診してほしい」としている。

 市地域保健支援課によると、国立がん研究センターの全国的なデータで、21年にがんで死亡した人は38万1505人、市内は3910人だった。一生のうちにがんと診断される確率は、男性が65.5%、女性が51.2%に上る。

 市内の受診率は企業による健康診断などを含まず、コロナ前の19年度で、胃がん12.3%、肺がん16.9%、大腸がん15.0%、乳がん13.8%、子宮がん15.6%。コロナ後の20年度はいずれも2.2~0.6ポイント低下した。22年度は胃がん11.5%、肺がん15.6%、大腸がん13.7%、乳がん12.4%、子宮がん15.5%と回復傾向にあるものの、コロナ前の水準には戻っていない。

 対象者は、胃がん、大腸がん、肺がんが40歳以上、乳がんが40歳以上の女性、子宮がんが20歳以上の女性、市独自の前立腺がんが50~80歳の男性。費用は自身で受ける場合の1割程度をめどに、自己負担額を上限千円に設定している。前立腺がんを除く5種類の検査は、対象初年度が無料。同課は「最初の年に受診することで、検査内容を知り、今後の定期的な受診につなげていきたい」としている。

 年度当初、12月~3月は希望する医療機関の予約を取りづらくなるとして、早期の受診を呼びかている。詳しくは市ホームページや4月下旬に郵送された「がん検診等のご案内」のはがきで確認してほしいとしている。

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