フランス勢3人目のメジャーV ブティエ「私の最大の夢だった」

ウィニングパットを決めてパターを握りしめた(撮影/村上航)

◇海外女子メジャー◇アムンディ エビアン選手権 最終日(30日)◇エビアンリゾートGC(フランス)◇6527yd(パー71)

「優勝者のリストにフランス国旗を加えることができるなんて、信じられない。本当に言葉にできない気持ち。ちょっと感無量です」

地元フランスのセリーヌ・ブティエがメジャー初Vを飾った。最終18番(パー5)で1mのウィニングパットを沈めるとパターを握りしめ、優勝の味をかみしめるように目を閉じた。笹生優花ら仲の良い選手にシャンパンで祝福を受けた。

フランス国旗を手に笑顔を見せた(撮影/村上航)

「私の最大の夢だった。もしメジャーで優勝するとしたら、エビアンでなければならなかった。でも、まさか今週だとは思っていなかった」

3打のリードを持って畑岡奈紗とともに最終組を出た。ギャラリーからの「アレ!アレ!(行け!行け!)」の声に押され、1番でバーディを奪い、続く打ち下ろしの2番(パー3)でも4mを決めて2連続バーディとした。4バーディ、1ボギーの「68」で回り、後続に6打差をつける通算14アンダーの圧勝だった。

ともにプレーした畑岡も「すごく攻めているわけでもなく、守っているわけでもなく。ちゃんと自分の順位を考えてプレーしていた。堅いゴルフだった」と冷静なプレーぶりを称えた。

メジャーの重圧にも負けない安定したプレー(撮影/村上航)

フランス勢としては大会初制覇で、メジャー優勝は1967年「全米女子オープン」をアマチュアとして制したカトリーヌ・ラコスト、2003年「シェブロン選手権」優勝のパトリシア・ムニエ・ルブック以来3人目の快挙だった。

母国フランスを愛する気持ちは誰よりも強い。タイ人の両親のもと、フランス北部のクラマールで生まれ育ち7歳でゴルフを始めた。コロナ禍で開催された2021年の「東京五輪」では他の選手が出場に難色を示す中、ブティエは「船を使ってでも東京に行く」と宣言した。

他を寄せ付けなかった6打差圧勝(撮影/村上航)

7度目の大会出場で念願の頂点に立ち、名実ともにフランスゴルフ界を引っ張る立場になった。「ゴルフという才能に恵まれたことに感謝しているし、もっと多くのフランス人選手がプロになって、同じ舞台でプレーできるようになることを望んでいる」

表彰式を終えた29歳はシャンパンの香りを漂わせながら次世代を担うジュニアゴルファーにサインし続けた。(フランス・エビアン/玉木充)

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