4年ぶりに長崎ペーロン選手権開催! 一般の部・野母崎が2大会連続V 未来担う中学生2人も参加

一般で2大会連続6度目の優勝を果たし、喜ぶ野母崎の選手たち=長崎港

 “激漕”復活―。真夏の長崎港に、白熱のレースが戻ってきた。30日、4年ぶりに開催された「長崎ペーロン選手権大会」(長崎新聞社などでつくる実行委主催)。一般と職域の2部門に約800人が出場した。「ヨイサー」。大会を待ちわびた選手たちは夏空の下、水しぶきを上げながら力強く疾走。抜きつ抜かれつの熱戦に、観客も4年分の声援を送った。
 13チームが出場した一般の部では、野母崎が2019年の前回に続き2大会連続、通算6回目の優勝を果たした。「優勝」のアナウンスが会場に流れると、メンバー全員でかいを空に突き上げ、「やったぞー」と歓喜の雄たけびを響き渡らせた。
 6チームで争った決勝レース。前半は横一線の互角な戦いだったが、ターンブイを回ったところで野母崎が船首の差で抜け出す。そのままリードを守りきり、勝利をもぎ取った。
 主将の熊本拓二さん(40)は「今年1番のレースができた」と笑顔でレースを振り返りつつ、「少しの差だった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。チームは2月に練習を開始。週5回、岸にロープをつなぎ漕(こ)ぎ続ける長崎伝統の「岩おこし」などハードな練習を重ね、「優勝だけを目指してきた」(熊本さん)という。
 監督の山崎聡さん(50)は「きつい練習にも応えてくれた。メンバーには感謝しかない」。決勝で戦ったチームの選手に「おめでとう」とたたえられ、思わず涙ぐむ場面も。
 予選では中学生2人も、漕ぎ手として出場した。最年少の出口颯真さん(13)=市立野母崎中2年=は小中学校でいじめを受け、学校に行けない日もあった。そんな困難を抜け出すきっかけを与えてくれたのがペーロンだった。
 たまたま知り合った野母崎チームのメンバーからペーロンの魅力を教わり、昨年3月から練習に参加。野母崎中に転校し、住まいも野母崎に移してペーロンにのめり込んだ。「野母崎の人のために頑張りたい」「絶対優勝したい」。そんな思いで、きつい練習にも必死に食らい付いた。
 目標だった優勝を成し遂げ歓喜に沸く選手たちの輪の中で、出口さんは「ペーロンを残していきたい」と未来を見据えていた。


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