酷暑にめげず、さあ出発 絶景-吾妻連峰・夏山縦走隊ルポ(第1日)

西大巓(にしだいてん)から主稜線を東に進むと、最高峰の西吾妻山(右奥)が現れた=山形、福島県境

 吾妻連峰を5日間の日程で縦走する山形新聞のパーティーは30日、山形、福島県境の白布峠から入山した。急勾配のルートを上り、最高峰の西吾妻山(2035メートル)をはじめとした主稜線(りょうせん)をたどった。

 酷暑の中の山行となったが、標高1900メートルを超えた辺りから高山の涼風を感じながら夏山の風情を味わった。主稜線では湿地が点在する豊かな水の世界を堪能し、米沢市の天元台高原に下った。

 一行は縦走2日目の31日、天元台高原から明道沢コースを伝い、大平温泉を経て弥兵衛平小屋を目指す。

急登越え主稜線で涼む

 山形、福島県境の白布峠から吾妻連峰に入山した山形新聞の登山パーティーは30日、西大巓(にしだいてん)(1982メートル)や最高峰の西吾妻山(2035メートル)などを経て、天元台高原に着いた。時折涼しい風が吹き抜ける中、初日から主稜線(りょうせん)上の景観や高山植物などを堪能した。

 夏山縦走企画の初日は興奮と緊張、そして若干の不安がない交ぜになる。白布峠からは緩やかな登りが続いた。連日の高温続きは吾妻連峰も例外ではなかったが、強い日差しを遮ってくれるブナ林が一行の歩を前へ前へと押し進めてくれた。

 本紙パーティーが吾妻連峰を訪れるのは2017年以来6年ぶりとなる。山岳ガイドの吉田岳(たかし)さん(54)=小国町=に加え、取材班を組む40代と30代の記者2人はそのときと同じ顔触れ。荷運びを担ってくれる山形大ワンダーフォーゲル部でいずれも3年の越智丈寛さん(20)と木村優太さん(22)、1年の伊藤拓真さん(19)が、新たなメンバーだ。機材や食料などを楽々と担ぎ上げる頼もしさがまぶしい。

 ブナ林を進むと、亜高山帯を代表するアオモリトドマツの群生林へと徐々に景色が変わっていき、標高が高くなってきたことを実感する。ここから、縦走企画初日の試練であり、“醍醐味(だいごみ)”でもある急登が始まった。腕も使いながら岩場を登り、たっぷりと汗をかかされた。

 西大巓からは福島県側の秋元湖などを臨むことができ、主稜線上では時折吹き抜ける涼しい風が一行の頬をなでた。山形県内では非常に珍しいというリンネソウや、かれんなミヤマリンドウなど高山植物との出合いも道中にあり、1日目にして連峰の魅力の一端に触れることができた。2日目以降への期待が膨らむ山行となった。

主稜線では31日以降に目指す一切経山をはじめとした山々が見えた=山形・福島県境・天狗岩付近
西大巓直下は険しい岩場などが続いた
ミヤマリンドウ
リンネソウ

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