【減災新聞】避難所運営、生徒も力  予期せぬ事態も次々と 横浜市立南中学校、ゲームで学ぶ

 中学生と地域住民が連携し、大規模地震時の避難所運営を考える「防災学び塾」が21日、横浜市南区の市立南中学校で開かれた。約80人がグループに分かれて避難所運営ゲーム「HUG(ハグ)」に取り組み、予期せぬ事態に次々と直面する避難所の課題にどう向き合っていくかを考えた。

 「高齢者や家族連れはどこに誘導する?」「トイレや入り口に近い方がいいと思う」

 読み上げられる「避難者カード」の内容に耳を澄ませ、生徒や住民らが頭を悩ませた。カードに書かれているのは、年齢や住まいの被害程度、病気の有無などだ。避難者の状況やニーズに合わせて避難所のどこに誘導するかを考え、学校の見取り図に配置していく。

 HUGは判断の正しさや勝ち負けを競うものではないが、今回の制限時間は30分。その一方でカードは250枚もある。次々と読み上げられていくため、1件1件について、じっくり話し合っている時間はない。

 「地震で両親をなくしたきょうだい」「日本語が話せない外国籍住民」「車いすを利用している」「ペット連れ」…。さまざまな境遇の避難者が押し寄せる一方、物資の受け入れやボランティア、マスコミの取材にどう対応するかも考えなければならない。混乱を来す被災直後の避難所で、公平性やプライバシーの確保などについても気を配れるかが試される。

 生徒会長で3年の吉田蔵之介さん(15)は「正解がなく、次々と対応していくのは大変だった」と振り返り、「事前準備の大切さや地域の人から教わったこともある。自分たちができることを考えていきたい」と前を向いた。

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