トラの尻尾をつかまえろ! 広島カープ 首位攻防で阪神と直接対決

先週、怒濤の10連勝で、ついに4月以来となる首位に躍り出たカープは敵地・甲子園に乗り込み、1ゲーム差の2位・阪神との直接対決に臨みました。

7月28日(金)阪神-広島 甲子園球場

トラを一気に突き放し、首位の座を万全にしたいカープ。金曜日の初戦、先発マウンドには今シーズン、初登板からここまで3試合、17イニング連続で無失点の 野村祐輔 が上がりました。

しかし、その立ち上がり、ヒットと盗塁で1アウト・2塁とされると、阪神のルーキー・森下に先制タイムリーを許し、野村は今シーズン初の失点を喫します。

野村を援護したい打線は、すぐに反撃を開始します。3回、2アウト・2塁の場面で打席には3試合連続で1番に入った 小園海斗 。広い甲子園の右中間を破るタイムリースリーベースで同点に追いつきます。

さらに続く2番・野間峻祥 。これが、連勝中のチームの勢い。タイムリーで続き、一気に勝ち越しに成功します。

しかし、そのウラ、殊勲の2人に試練が待っていました。1アウトから阪神・近本の当たりが不運にもイレギュラー。小園にエラーが記録されます。

続く中野にフォアボールを出し、1アウト・2塁・1塁のピンチ。ここで打席には先制タイムリーを許している3番・森下。ライト前に抜けた当たりに野間が懸命にチャージしますが、ここで痛恨のエラー。打球が後ろにそれる間にランナー2人のホームインを許し、逆転されてしまいます。

野村は、その後、粘りの投球を見せて踏ん張ったものの、4回3失点で降板。後を受けたリリーフ陣も阪神打線につかまり、7月12日の巨人戦から続いていた連勝は、10でストップ。首位を阪神に明け渡す結果となりました。

7月29日(土)阪神-広島 甲子園球場

連勝が止まり、踏ん張りどころの第2戦。この日の先発は、今シーズン、防御率1.74と好調の 森下暢仁 。その中で唯一、負けをつけられている阪神相手にリベンジと行きたいところですが、立ち上がりからピンチを迎えます。

連打から1アウト・ランナー3塁・1塁で阪神の打点王・大山。続けて投げたストレートをセンターまで運ばれ、犠牲フライで先制を許します。

カープ打線は、3回、今月、初のスタメン起用の矢野が、“がむしゃら” なプレーで出塁すると、相手バッテリーのすきを突き、2塁へ。足を使って得点圏まで進みます。

チャンスに、前の試合で同点タイムリーを打っている1番・小園海斗 。インコースを突いたストレートを引っ張ってライトへ。これが2試合連続の同点タイムリーとなり、試合を振り出しに戻します。

しかし、そのウラ、再びピンチが訪れます。2アウト・3塁・2塁でここまでホームラン11本の5番・佐藤輝明。フルカウントからの6球目。前の球との球速差が25キロと緩急を利かせたピッチングで見逃し三振。ピンチを切り抜けます。

その後もランナーを出しながらも、バックの助けもあり、粘る森下。しかし、6回、前の打席で完璧に抑えた佐藤輝明。甘く入った変化球をとらえられ、スタンドへ。再びリードを許します。

ここから切り替えていきたい森下ですが、まさかのアクシデント。右中指のマメの影響で、今シーズン初めて6回を投げ切ることなく、降板となります。

なんとしても勝ちたいカープは、1点を追いかける8回。新井監督が勝負を仕掛け、代走の切り札・羽月隆太郎 を投入。打席には3回にタイムリーを放っている小園。その初球でした。147キロのストレートをとらえた打球はフェンスへ到達し、その間に羽月が俊足を飛ばしてホームへ生還。小園は、ここまで全打点を稼ぐ大活躍! 羽月も起用に応え、カープは土壇場で同点に追いつきます。

同点のまま迎えた9回には、栗林良吏 が、登板しますが、2アウト・ランナー2塁・1塁と一打サヨナラのピンチ。打席には、この日、先制点を挙げている4番・大山。フルカウントから7球目。気迫があふれ出る投球でなんとか無失点に抑えて延長戦に突入します。

試合は、もつれにもつれ、迎えた12回オモテ、カープ最後の攻撃―。2アウトから連打でランナー3塁・1塁。打席にはこの日、タイムリー2本と当たっている小園。大きなチャンスでしたが、空振り三振。カープは、今シーズン初の引き分けで、首位返り咲きとはなりませんでした。

7月30日(日)阪神-広島 甲子園球場

続く日曜の第3戦、カープのスタメンには、菊池涼介 が今月16日の巨人戦以来、2週間ぶりに名を連ねます。その菊池、初回の第1打席でさっそく鋭い当たりを放ちますが、阪神・近本の好プレーに阻まれます。

カープの先発は、前回登板でおよそ1か月ぶりの白星を挙げた 大瀬良大地 。立ち上がりから気合い十分の投球を見せます。2回にはフォアボールと自らの暴投でランナーを2塁に背負いますが、ノイジー、梅野を連続で三振に切ってとり、このピンチを凌ぎます。

しかし、続く3回、2本のヒットと盗塁で1アウト・3塁・2塁とされると内野ゴロの間に先制点を許します。

1点を追う試合展開で、野手陣が大瀬良を助けるべく奮起します。4回ウラの守備では佐藤輝明の大きな当たりを 秋山翔吾 がフェンス際でナイスキャッチ。

そして、迎えた6回、阪神の先発・伊藤将司の前にここまでヒット2本に抑えられていた打線でしたが、2アウトから打撃好調の1番・小園海斗 。ヒットで突破口を開くと、さらに小園はすきをついて2塁への盗塁を成功させます。

このチャンスで打席にはスタメンに復帰した2番・菊池がタイムリー。2アウトから足をからめた効果的な攻撃で同点に追いつきます。

しかし、その直後の6回ウラ、援護をもらった大瀬良でしたが、1アウト・1塁の場面で阪神のルーキー・森下に甘く入った初球のまっすぐをはじき返されると、高く上がった打球は浜風に押され、無情にもスタンドへ…。勝ち越しを許します。

その後もタイムリーを許した大瀬良は、6回を投げ、4失点。この回限りでマウンドを降ります。

食らいつきたいカープは終盤、粘りを見せます。8回、先頭打者の 中村奨成 が、自身の今シーズン初ヒットとなる内野安打と相手のエラーで2塁まで進むと、末包昇大 もヒットで続き、ノーアウト・3塁・1塁と絶好のチャンスを作ります。

ここで代打に指名されたのは、ベテラン・會澤翼 。期待に応えて、きっちりセンター前へ運び、2点差とします。

さらに1アウト・3塁・2塁とチャンスが続きます。しかし、2番・菊池、3番・秋山が阪神の継投策の前に凡退。あと一本が出ず、カープはそのまま阪神に逃げ切られました。

首位攻防戦となったこの3連戦で白星を挙げることはできませんでしたが、順位はトラの尻尾が目の前にぶら下がる2位。あす8月1日からの地元6連戦で仕切り直しを図ります。

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