進む部活動の“地域移行” 中学総体で初めて「地域クラブ」参加 少子化や教員の働き方改革の一環で

7月に行われた愛媛県中学総体では、初めて「地域クラブ」の参加が認められ、各競技で中学校の部活動チームと共に熱戦が繰り広げられました。このうち、ラグビーには1つの地域クラブが出場しました。

松山市の北条スポーツセンター。県中学総体のラグビーには、部活動3チームに加え、今回は地域クラブの「松山ラグビースクール」が初めて参加しました。

松山ラグビースクールの登録メンバーは、松山市近郊の中学11校から集まる12人。通う学校にラグビー部がなく、学校の垣根を越えて週末に練習を重ね、結束力を高めてきました。

1回戦の相手は、松山市立城西中学校。松山ラグビースクールは、開始3分に先制トライをあげて主導権を握り、前半を7対5とリードして折り返すと、後半も息の合った攻撃で3本のトライをあげて快勝。26対10で、県中学総体初勝利を挙げました。

そして決勝戦の相手は、結成3年目の強豪「北条合同」。前半13分にトライを許すと、その後も主導権を北条合同に握られ続けましたが、終了間際、松山ラグビースクールは敵陣でパスを繋ぎ渾身のトライ。意地の1本を初の決勝の舞台に刻みました。

結果は5対21で敗れ、準優勝の松山ラグビースクール。それでも“新しい中学総体”の始まりにしっかりとクラブチームの存在感を示しました。

松山ラグビースクール 長尾潤選手(久米中3年)
「去年は学校でしか出られず、クラブでは出られなくて他の中学校と合同でやってたので、練習の時間とか短くて。だけどきょうはクラブチームで出られたので、今までの仲間でできたので良かったです」

松山ラグビースクール 藤井康史ヘッドコーチ
「私たちのチームもかなり歴史は古いんですが、小学生の生徒はかなりいまして、それが中学生に上がる時に、学校の部活動の方がやりたいということでラグビーを辞めていった生徒もかなりいましたので、今回こういう機会を設けてもらってラグビーを続けていただくと、これから普及には十分役立てていけるのではないかなと思います」

今年度から、愛媛県中学総体でも「地域クラブ」の選手が参加できるようになりました。

少子化や教員の働き方改革の一環で、国が中学校の部活動の「地域移行」を進めていますが、それに伴い、県中学総体でも地域クラブに門戸を開いた形です。

では今回、どのくらい地域クラブが参加したのか。

地域クラブから申請があり参加が認められたのは13競技54団体に上り、このうち4つの競技では6つの地域クラブが優勝しています。

全競技を終えて、県中体連の池内理事長は「学校の枠を越えて生徒達が本当に自分のやりたい競技に取り組めるようできる所から進めていきたい」と先を見据えていました。

部活動の地域移行を巡っては指導者不足の問題なども指摘されています。保護者の会費負担増の課題もありますし、中学生達に、よりよい競技環境を提供するための取り組みはまだ始まったばかりです。

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