住宅ローン「申込金額5〜6千万円のケースも」価格高騰+金利も上昇 「固定?変動?」悩める選択

憧れのマイホームは今後、手の届きにくい存在になるかもしれません。そのきっかけとなったのは日銀=日本銀行の金利政策。住宅本体の価格が上昇するのに加えて、住宅ローンの金利も上がっていきそうです。

7月31日の債券市場。長期金利の代表的な指標、10年物の国債の利回りが一時、0.605%と9年ぶりの高水準となりました。ちょっと難しい言葉が並びますが、要するに金利が上がったのです。きっかけは日銀の政策が先日、変更されたことでした。

<日本銀行 植田和男総裁>

「長期金利が1%まで上昇することは想定していないが、念のための上限キャップとして1%とした」

牧之原市出身の日銀・植田総裁は金利の上昇を容認する方向にかじを切ったのです。私たちの生活の中で金利の上昇が最も影響するのは住宅の購入です。

<静鉄ホームズ営業 山崎綾太さん>

「2年前と比べると20%ほど上がっています」

Q.高騰している理由は?

「新型コロナウイルスのまん延、ウクライナ・ロシア情勢によって、ウッドショック、オイルショック、アイアンショックなので、住宅資材、建材の高騰につながっている」

住宅の価格はさまざまな物価の値上がりで一気に高騰しています。多くの人が購入の際、住宅ローンを組みますが、その借入金額に価格の高騰は反映されています。

<しずおか焼津信用金庫 辻真吾係長>

Q.住宅ローンの申込金額は?

「最近だと5000~6000万円の申し込みをいただいている。場合によっては計画の見直しや、無理のない範囲での借り入れの提案をしている」

こちらの金融機関では10年前と比べると、住宅ローンの申込金額がおよそ倍に増えています。ここに追い打ちをかけそうなのが、いま起きている金利の上昇です。

<静岡経済研究所 恒友仁専務理事>

「これから新規で住宅ローンを借りようという方で、固定金利で借りようとしている方には適用金利が上がってくる」

長期金利が上がると、固定金利の住宅ローンの金利が上昇します。実際、大手銀行は7月31日、住宅ローンの固定金利を8月1日から引き上げると発表しました。固定か、変動か。これから住宅の購入を考える人は、難しい選択を迫られることになります。

静岡経済研究所の恒友専務理事によりますと、今回の日銀の金融政策により、住宅ローンの「変動金利」に変化はいまのところないということです。続いて「変動金利」から「固定金利」への借り換えですが、一気に変動金利が固定金利を上回ることは考えにくく、いまは現実的ではないようです。

これからローンを組む場合には「固定金利」を視野に入れる人も出てくるかもしれないと話しています。ただし、個人個人で収入や家族構成、人生設計などが違うので、社会情勢や金利環境を見極め、自分に合った計画を考えるのが重要です。

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