Tシャツ事業海外展開 丸井織物の「UP―T」

Tシャツにオリジナルのプリントができる丸井織物のサービス=中能登町内

  ●円安追い風、まず米国

 丸井織物(能登町)は31日までに、オンライン上でTシャツなどを作成できるサービス「UP―T(アップティー)」の海外展開に乗りだした。第1弾として7月、米国向けのサイトを開設し、受注を開始した。円安による価格面での優位性を追い風に、織物事業で培った高品質な商品で市場を開拓する。

 アップティーは、利用者が選んだイラストや写真を印刷し、Tシャツなどオリジナル商品を作ることができるサービス。ホームページ上で注文できる手軽さや納期の短さから、売り上げを伸ばしている。

 同社によると、米国のオリジナルTシャツの市場規模は日本の約10倍という。円安の影響で、日本国内で生産、輸出することで現地企業の相場より価格を抑えられるとしている。

  ●サイト開設、受注を開始

 日本郵政と提携して発送網を構築し、中能登町と金沢市にある自社工場で生産、輸出する体制を整えた。10日にサービスを始めたところ、1日当たり約100件の注文が入っている。 同社は2016年にアップティーのサービスを開始。印刷できる製品はTシャツのほか、名刺入れやスマートホンケースなど500種類以上を数える。

 国内での販売が順調なことや、現行設備で対応できると判断したことから、米国への進出を決めた。

 アップティーを含む同社のネット事業全体の売上高は22年度で42億円。26年度までの中期経営計画では、ネット事業の売上目標を72億円とするが、アップティーの事業拡大で上振れが見込めるとしている。

 今後はオーストラリアへの進出を目指すほか、アジア、ヨーロッパなどへと順次拡大する方針。同社の担当者は「サイトに工夫を凝らし、品質の高さやコスト面の魅力を発信したい」と語った。

  ●持ち株会社に移行 26年度、売上高300億円目指す

 丸井織物はグループ会社の宮米織物(中能登町)の商号を「マルオリグループ」と変更し、丸井織物の完全持ち株会社とする経営体制の変更を発表した。丸井織物がマルオリの傘下に入る。新体制でM&A(企業の合併・買収)や事業の再編成を進める。

 7月1日付で株式交換と現物分配が完了し、マルオリグループを設立した。今後、丸井織物の子会社8社を、マルオリの子会社とする手続きを進める。

 丸井織物は2017年に染色加工の倉庫精練(金沢市)を子会社化するなど、積極的なM&Aを進めている。今後の事業拡大を見据え、グループの創業会社である宮米織物が親会社となり、経営強化を図る。

 連結の売上高は22年度が233億円で23年度は250億円を見込む。26年度までに300億円を目指す。

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