【RQインタビュー】「これでダメだったら……」ラストチャンスからRQ大賞新人部門グランプリを獲得。木村楓のシンデレラストーリー

 2023年もスーパーGTに初めて登場した新人レースクイーンを対象に行われた人気投票イベント『Adam byGMO日本レースクイーン大賞2023新人部門』。エントリー33名からファーストステージで10名に絞られ、7月17日に開催されたギャルパラ七夕祭りで新人部門の受賞者3名が発表された。

 そして、受賞者3人の中から2023年の新人部門グランプリを手にしたのはSARDイメージガールの木村楓さん。昨年のグランプリである七瀬ななさんから名前が発表された瞬間から、木村さんは涙が止まらない様子だった。

涙を流しながらグランプリ獲得の喜びを語る木村楓さん

■「発表された瞬間、頭が真っ白になりました」

 ファイナルステージ前のPR放送の時から、想いのこもったスピーチをしていた木村さん。新人部門表彰式での受賞スピーチも感極まるシーンが何度もあった。それだけ、この“新人グランプリ”にかけていた想いは誰よりも強かった。

新人部門受賞の想いを語る木村楓さん

「あの瞬間は頭が真っ白になりました。グランプリを目指して頑張ってきましたけど、今までの先輩方の姿もみていて、グランプリの重みを感じていました。すごく高い壁だと思っていたので……(グランプリ発表の瞬間は)頭が真っ白になってパニックになりました」と名前が呼ばれた時のことを振り返った木村さん。

「うれしい気持ちもありましたが、何よりも先に応援してくれたみんなと、そばで支えてくれた先輩方への感謝の気持ちがいちばん大きかったです」と、自分の気持ちよりも支えてくれた周囲の方々への感謝の気持ちを強く持っていた。

■挫折を味わう日々「虚無感と悔しさを感じた毎日でした」

 もともとは幼稚園の先生をしていたという木村さん。充実した日々を過ごしていたが、SNSでの“ある出会い”がレースクイーンを志す最初のきっかけとなった。

「幼稚園の先生は2年間やらせてもらって、すごく楽しかったのですが、毎日を漠然と過ごしている感じがしていました。そんな時にSNSで林紗久羅さんを見つけて『レースクイーンという職業があるんだ!』と思って、そこから調べていくうちにレースクイーンの魅力に惹き込まれていきました」

「最初は可愛いなと思っていたんですけど……だんだん『私もなりたい!』という気持ちになっていって、幼稚園の先生を辞める決意をしました」

 地元の茨城から上京した木村さん。しかし、そこで待っていたのは厳しい現実だった。

 2022年シーズンのレースクイーンを目指しオーディションを受けるも合格することができず、東京で1年の“浪人生活”を過ごすこととなった。

「『私は何のために東京に来たんだろう?』って思いながら毎日過ごしていました。すごい虚無感と、人から選んでもらえない悔しさと……。毎日そんな思いを抱えながら1年間過ごしていたので『もし今年(2023年)なれなかったら、諦めて幼稚園の先生に戻ろう』と考えていました」

 いきなり挫折を経験した上京1年目だが、それでもレースクイーンとして活躍したいという想いを諦めなかった木村さん。今年初めにイースマイルの一員となり、ついにレースクイーンデビューの機会を得る。その瞬間、木村さんの決意は固まった。

「レースクイーンになることが決まったと、イースマイルから連絡がきた時に『こんなに落とされていた私を選んでくれたなら、絶対にグランプリを獲る!』と思って、レースクイーンが決まったその日からグランプリだけを目指してきました!」と振り返る。

 スーパーGTではSARDイメージガール、スーパー耐久ではD’stationフレッシュエンジェルズと人気レースクイーンユニットをいきなり務めることとなり、憧れの存在である林紗久羅さんとも一緒にサーキットに立つこととなった。

■憧れであり、偉大な先輩から学んだこと

「レースクイーンになって、1年目から素晴らしいチームのレースクイーンに就任することが決まり『私に務まるのかな』とすごく考えました」

「紗久羅さんは『かえぴょん(木村さん)は人の目とか気にしないで、自分のためにがんばりなさい』と言ってくださって、そこから切り替えて前だけを見て頑張ってきました」と木村さん。

 デビューが決まってからの5カ月間、何を挑戦するにしても偉大な先輩が笑顔で背中を押してくれたという。

「紗久羅さんは、本当に偉大すぎます! 私のお手本というか、追いかける背中というか……。私が『新人賞がすごく不安です』と話したら、サーキットでのお仕事終わりなのに夜電話がかかってきて『配信とか手伝おうか?』と言ってくださって……。すごく疲れているなかなのにいろいろ手伝ってくださって、新人賞のPR放送をした時も現地に来てくださいました。尊敬の気持ちしかないです」

「私にとっては勉強になるし毎日たくさん言葉をかけていただいています。紗久羅さんは良いところだけではなくて、私のダメなところもハッキリ教えてくれるんですけど、それも私のためを思って言ってくださっているのが伝わるので、その言葉を信じてやってきました」

 シーズン序盤はわからないことだらけだったという木村さん。偉大な先輩の背中を追い続けていくうちに、徐々に自信がついていった。

「最初は挙動不審だったとファンの方から言われました(苦笑)。今は以前と比べると少し堂々とできているのかなと思います。表情も明るくなったねと言われますね」

「私自身サーキットが初めてだったので、最初は本当に右も左もわかりませんでした。自分がこうしたいとか考える心の余裕もなかったのですけど、今はファンの皆さんひとりひとりと向き合って話したり、まわりを見て動けるようになったのではないかなと思っています」

 そんな中で始まった新人部門の投票期間。木村さんはシーズンが始まる前から“グランプリを獲る!”と決意したものの、実際はプレッシャーで押し潰されそうになることもあったという。その姿にいち早く気づき、ファイナルステージ最終日まで一緒に走り続けたのが、林さんだった。

「私が毎日不安そうな顔をするのでPR放送の前日に紗久羅さんが『(応援に)行くね!』と言ってくれて、当日来てくれました」

「スピーチの時も途中に想いが込み上げてきて、途中言葉が詰まってしまうことがあったんですけど、その度に紗久羅さんの顔を見て落ち着かせて……(スピーチを)進めることができました」

「投票期間の最後1週間は毎日寝られなくて不安な気持ちで過ごしていました。本当に毎日が不安で発表の前日も寝られなかったです。それくらい本気で頑張ってきました」

グランプリ発表を待つ新人部門受賞者3人

■2年前の自分に伝えたいこと……

いろいろな想いや葛藤と闘いながら、応援してくれるファンや先輩レースクイーンたちの想いを信じて走り続けた木村さん。表彰式の会場には彼女のグランプリ獲得を喜ぶ多くのファンがいた。

「みんながいたから、挫けそうな時も最後まで頑張ることができました。みんながいると私は笑顔になれます。これからも、たくさん思い出をつくっていきたいので、ずっとずっと私のそばにいてください! 本当にアツい応援をありがとうございました!」と応援してくれたすべての人に、力強く感謝の気持ちを伝えていた。

 ここからは“No.1新人レースクイーン”という称号を背負いながら活動していくことになる木村さん。

「夢みたいですね、ありがたいです」と照れながら答えてくれたが、レースクイーンとして目指す最終目標は、まだまだ高いところにある。

「自分のことだけではなくて、モータースポーツもそうですし、チームに貢献していきたいなと思います。名前が上がるレースクイーンのひとりになれるようになりたいです」

「皆さんも並々ならぬ努力をされてトップレースクイーンになっていると思うんですけど、私もそこを目指して頑張っていきたいです。何よりファンの方がいないとできないことなので、ファンの皆さんひとりひとりを大切にして、これからも頑張っていきたいです」

 最後に木村さんにこんな質問をさせていただいた。

“オーディションに落ち続けていた約2年前の自分に、今どんな声をかけたいですか?”

「『今は、あなたのことを応援してくれる人がいっぱいいるから……絶対に諦めないで頑張ってね!』と言いたいですね」と木村さん。「ここまで諦めずにやってきて……本当に良かったです!」と、満面の笑みをみせた。

 人生において“何があっても最後まで諦めずに、何かを成し遂げる”ということほど難しい挑戦はない。もし、ここまでの道のりのどこかで木村さん自身が諦めていたら、この栄冠に辿り着くことは100%なかっただろう。“グランプリを獲りたい”という誰よりも強い想いと行動力が、多くのファンの心に届き、夢を叶える原動力になったのかもしれない。

 今度はトップレースクイーンになるという目標に向かって、新たな一歩を踏み出そうとしている木村さん。その活躍から、これからも目が離せない。

Adam byGMO日本レースクイーン大賞2023新人部門を受賞した一之瀬優香さん、木村楓さん、八伏紗世さん
SARDイメージガールを務める木村楓さん
SARDイメージガールを務める木村楓さん

© 株式会社三栄