死亡した小2女児、プール吸水口に吸い込まれた…今年で17年 市長ら献花「時間どれだけ経っても忘れない」

プール事故現場の跡地で、亡くなった戸丸瑛梨香さんの冥福を祈り、献花する高畑博市長(前列中央)ら市関係者=31日午前8時、ふじみ野市大井武蔵野

 埼玉県ふじみ野市大井武蔵野の市営「大井プール」で2006年7月、所沢市の小学2年生戸丸瑛梨香さん=当時(7)=が吸水口に吸い込まれ死亡した事故を受け、ふじみ野市の高畑博市長ら市関係者は発生から17年が経過した31日、プール跡地隣接の市立スポーツセンター総合体育館敷地内で献花し、戸丸さんの冥福を祈るとともに、悲惨な事故を二度と起こさないための安全管理の徹底を誓った。

 この日、跡地を訪れたのは高畑市長と福島浩之副市長、朝倉孝教育長、同市議会の島田和泉議長、加藤恵一副議長の5人。午前8時、同所に設置された献花台にカサブランカをはじめアマリリスやカーネーションなどの花束を手向け、数分間黙とう。改めて戸丸さんの死を悼んだ。

 献花後、高畑市長は「時間がどれだけ経過しても、退職者を含め市職員らが事故を忘れることはない。毎年の献花は事故を風化させず、哀悼の意をささげることに意味がある。安全な公共施設はわれわれの使命であり、日本一の安全な施設を目指していく」と改めて安全管理の徹底を心に誓った。

 事故は、プールの吸水口の防護柵が強度の弱い針金で留められ、点検や対策が講じられていなかったことが原因で起きた。事故後、市は7月の最終週を公共施設安全点検週間に設定。毎年、市内の公共施設の安全点検を実施しているほか、戸丸さんの命日には現場で献花を行っている。

 大井プールは10年に解体され、跡地は老朽化した市内2カ所の弓道場の代替施設として、18年11月に同センター弓道場が設置されている。

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