菅前首相、秋の政局へ始動か? 週刊誌で官邸回顧連載開始

菅義偉氏(資料写真)

 菅義偉前首相(衆院神奈川2区)が週刊ダイヤモンド8月5日号(7月31日発売)から連載「官邸の決断」を始めた。編集部によると「半年程度は続ける見通し」という。「官房長官8年、総理1年の内幕を明かす」との触れ込みだが、「不祥事などに揺れる岸田文雄総理の立ち回りと比較されるのは必至」(官邸筋)。「秋の政局をにらみ動きを開始した」(自民幹部)との見方も広がりそうだ。

 岸田内閣はマイナンバーカードの扱いに苦悩中だ。同誌発売日の31日は官邸サイドから「紙の保険証廃止の時期見直しを巡る関係閣僚会議が翌8月1日にある」との情報が流れたが夜になって一転、ペンディングとなった。「見直し」に前向きな岸田首相と「方針不変」を主張する河野太郎デジタル相(15区)らとの間で調整が難航しているとみられる。政策以外でも木原誠二官房副長官について週刊誌の報じる疑惑が官邸を揺るがす。

 菅氏は連載初回で「官房長官として最も重視した任務が危機管理だった」と説明。「国家の危機に対処するに当たって総理官邸が常に司令塔としての機能を果たし、その責任から決して逃げないこと」を「常に心掛けていた」と強調した。

 マイナカード問題を巡っては「河野氏に丸投げ」(自民の閣僚経験者)との批判も根強い。菅氏に近い議員は「菅さんは当たり前のことを語っているが、今の内閣に照らすと嫌みになってしまう」と苦笑いする。

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