宮崎市新庁舎にオストメイト対応トイレを要望

疑似体験をしながらオストメイト対応トイレの必要性を学ぶ宮崎市職員ら

 建設を控える宮崎市役所新庁舎に、人工肛門や人工ぼうこうを着けて生活する「オストメイト」に対応したトイレの設置を望む声が、当事者から上がっている。利用者に合わせて専用の流し台を上下前後に動かせるタイプなどを要望し、「気軽に外出できる環境を」と求めている。
 日本オストミー協会県支部によると、対応トイレは排せつ物の処理や装具の洗浄などに使用。生産される多くの対応トイレは流し台が固定式で、身長が低い人や車いす利用者は使いにくいという。市管財課によると、現市役所は本庁舎と第二庁舎の計5カ所に対応トイレがあり、全て固定式。
 当事者で同支部の廣志(ひろし)秀月さん(89)は、同市職員向けの研修会を県防災庁舎で7月19日に開いた。参加者は排せつ物をためる袋「パウチ」を装着し、車いすに乗って汚物処理を疑似体験。同所の対応トイレは流し台が可動式で使いやすい一方、広さが足りず車いすを動かしにくいなどの気付きがあった。
 廣志さんは「対応トイレはただ置けばいいわけではない。当事者の使い勝手を無視しないで」と訴えた。同市新庁舎整備課の長谷川主税課長補佐は「必要性を再認識した。誰もが使いやすい新庁舎を目指し、設置を検討したい」と話していた。

© 株式会社宮崎日日新聞社