<コラム>Mrs. GREEN APPLEがArtist 100首位獲得、チャートを席巻するその強みとは

結成10周年を迎えたMrs. GREEN APPLEが、7月5日に4年ぶりとなる、5枚目のオリジナル・フルアルバム『ANTENNA』をリリースした。本作には、タイトル曲「ANTENNA」をはじめ、「コカ・コーラCoke STUDIOキャンペーンソング」として書き下ろされた「Magic」、ドラマ『日曜の夜ぐらいは...』の主題歌「ケセラセラ」など珠玉の全13曲が収録されている大作だ。

この大作は、2023年7月19日公開(集計期間:2023年7月10日~7月16日)のBillboard JAPANダウンロード・アルバム・チャート“Download Albums”において、2週連続で1位を獲得。そして、総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”の中から作曲家にフォーカスした“Hot 100 Composersと作詞家にフォーカスした“Hot 100 Lyricists”でも、3週連続で大森元貴(Vo./Gt.)が首位に立っている。さらに、『ANTENNA』の発売日を含む2023年7月12日公開(集計期間:2023年7月3日~7月9日)の週では、「ANTENNA」「Magic」「ケセラセラ」「Soranji」「私は最強」などの最新曲や、「ダンスホール」「ブルーアンビエンス (feat.asmi)」「インフェルノ」「僕のこと」「青と夏」「点描の唄 feat.井上苑子」といったロングヒット楽曲の計11曲(YOASOBIが7曲、Official髭男dismが8曲)がHot 100にチャートイン。これは2023年度のHot 100において、チャートイン楽曲数の最多記録となっている。

Mrs. GREEN APPLEの強さは何といってもストリーミング再生回数の多さだ。現在、「点描の唄 feat.井上苑子」(4億回突破)、「青と夏」(3億回突破)、「ダンスホール」(3億回突破)、「インフェルノ」(3億回突破)、「僕のこと」(2億回突破)、「ロマンチシズム」(2億回突破)、「Soranji」(1億回突破)、「WanteD! WanteD!」(1億回突破)、「ブルーアンビエンス (feat.asmi)」(1億回突破)と9曲の再生回数が1億を超えている。中でもミュージック・ビデオとの相乗効果で一気に話題に上がった「ダンスホール」は、自身最速で累計再生回数3億回を突破した。そこで今回は、ストリーミング指標を軸にMrs. GREEN APPLEの動向を分析していく。

2022年3月に「フェーズ2開幕」を宣言して活動を再開したMrs. GREEN APPLE。Hot 100と総合アルバム“Hot Albums”のポイントを合算したアーティスト・ランキング“Artist 100”のチャートイン記録を振り返ってみると、2022年7月にミニアルバム『Unity』(「ダンスホール」収録)がリリースされて以降、ストリーミング指標に加え、特に影響を受けやすい動画、カラオケ指標も常に好調な動きを見せている。(図1)

その後、2022年11月9日にリリースされたシングルの表題曲「Soranji」は、二宮和也、北川景子主演の映画『ラーゲリより愛を込めて』の主題歌で、12月9日に映画が公開された直後からHot 100のストリーミング指標においてじわじわと順位を伸ばして、1月18日公開(集計期間:2023年1月9日~1月15日)のチャートで最高位15位をマークした。そして、同シングルのカップリング曲であり、映画『ONE PIECE FILM RED』の劇中歌として書き下ろされた「私は最強 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」のセルフカバーも順位を上下しながら、映画公開終了後もHot 100のストリーミング指標でトップ100をキープ中だ。そして、2022年末には10周年企画「Mrs. GREEN APPLE 10th Anniversary Celebration」が発表され、2023年第一四半期には、企画の一環としてライブ映像公開やスタジオライブ【Studio Session Live】が展開されていった。同時期には既にArtist 100でトップ10をキープしており、次の新曲もヒットするという土台が出来上がっている状態に。(図2)

そんな中、4月25日に『ANTENNA』から先行配信リリースされた「ケセラセラ」はどうだったろうか。リリース当初はHot 100のストリーミング指標で最高位4位を記録。その後はトップ10をキープしつつも下降気味だったが、主題歌に起用された『日曜の夜ぐらいは...』が最終回(7月2日)を迎えたこともあり、ストリーミング指標の順位が再び上昇していることが分かった。(図3)

そして、アルバム『ANTENNA』がリリースされた週前後で、Mrs. GREEN APPLEは『THE MUSIC DAY 2023』、『2023FNS歌謡祭 夏』、『CDTVライブ!ライブ!2時間スペシャル★ミセスフェス』、『音楽の日2023』など、多くの音楽番組に出演していた。そこで各楽曲を振り返ってみると、Hot 100のストリーミング指標では、「Magic」が10位(7月5日公開)→6位(7月12日公開)→6位(7月19日公開)、「ケセラセラ」が8位(7月5日公開)→4位(7月12日公開)→4位(7月19日公開)と上位をキープ。中でも、夏シーズンということもあって「青と夏」は11位(7月5日公開)→11位(7月12日公開)→8位(7月19日公開)と上昇した。また、同様に動画指標やカラオケ指標も好調な動きを見せる中、ラジオ指標でも、「Magic」が5位(7月5日公開)→1位(7月12日公開)→2位(7月19日公開)、「ケセラセラ」が52位(7月5日公開)→78位(7月12日公開)→62位(7月19日公開)、「青と夏」は46位(7月5日公開)→81位(7月12日公開)→63位(7月19日公開)と上下を繰り返している。Mrs. GREEN APPLEがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組『SCHOOL OF LOCK! ミセスLOCKS!』を持っていることや、リクエストオンエアが増えていることが分かる結果だ。

これまで記述したことが積み重なって、2023年7月19日公開(集計期間:2023年7月10日~7月16日)のArtist 100のストリーミング、ラジオ指標において2週連続で1位、そして2023年7月26日公開(集計期間:2023年7月17日~7月23日)の同チャートで総合1位を獲得するという結果に繋がった。常に話題一つ一つを綺麗にリレーのようにバトンを繋げ、安定した順位をキープしているのがMrs. GREEN APPLEの強みだろう。(図4)

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