「安全を最優先にするといいながら 十分機能していなかった」“3つの要因”で消防隊員殉職か ビル火災最終報告書を静岡市長に提出

2022年8月、消防隊員1人が殉職した静岡市葵区のビル火災について、事故調査委員会は消防局の安全を軽視する姿勢を指摘した最終報告書を静岡市の難波喬司市長に提出しました。

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2022年8月、静岡市葵区呉服町のビルの飲食店で発生した火災では消火活動にあたっていた静岡市消防局の男性隊員(当時37)が死亡しました。男性隊員はなぜ亡くなったのか、原因の究明を進めてきた事故調査委員会は8月1日、最終報告書を静岡市長に提出しました。

<事故調査委員会 中西美和委員長>
「分析に伴う調査結果の概要を報告させていただきます。次の3つのことが重なったことによって発生したと推定されております」

最終報告書では、当時の活動状況から男性隊員が亡くなったのは、3つの要因が考えられると指摘しています。

1つは亡くなった男性隊員が何らかの理由で、ホースの先端を持たずに単独で入ってしまった点。

2つ目は男性隊員と一緒にいたはずの2人の隊員が現場を後にする際、男性隊員がいないことに気づかなかったこと。

3つ目は男性隊員が行方不明になった後、発見されるまでに時間がかかったことです。

そのうえで事故調査委員会は、静岡市消防局の安全管理に対する組織としての認識が足りていなかったと指摘しています。

<静岡市 難波喬司市長>
「安全を最優先にすると言いながら、十分機能していなかった。具体的にどのような行動をしていくことが安全を最優先する行動なのか、要綱や訓練に落としていき確実に実行していくことが大事」

静岡市消防局は、最終報告書をもとに、具体的な再発防止策を今後あらためて示していくとしています。

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