「ここ2年で9~10%食材費アップなのに…」“病院食”直撃で悲鳴 8月から乳製品など1,102品値上げ

物価高対策が始まった中、8月も値上げの波が私たちを襲います。1日から乳製品や調味料など1102品目が値上がりします。食品の値上げで深刻な影響を受けているのが病院です。予算の上限が決まっている病院食が作れなくなると悲鳴が上がっています。

【写真を見る】「ここ2年で9~10%食材費アップなのに…」“病院食”直撃で悲鳴 8月から乳製品など1,102品値上げ

静岡市駿河区にあるカフェは、ふっくらとした生地のパンケーキが自慢の店です。

<井手春希キャスター>
「いただきます。生地がふわふわでしっとり。ベリーの酸味とクリームの甘みがとても組み合わせがよくてチョコソースも相性がいい」

このパンケーキに欠かせない乳製品が高騰しています。

<Cafe MeltingPot 近藤晴彦代表>
Q.牛乳はいくら?
「いま、店にもよるけど、170円から200円の間」
Q.以前と比べると?
「50円は上がった。春ぐらいから、買いに行ったら値上がりしていて、あまりにも値上がりしていたので、びっくりした」

牛乳だけでなくパンケーキのトッピングの生クリームやソフトクリームも値上がり。業務用の仕入れをやめスーパーを何軒も回り安い店で購入していますがそれも限界に…。

<Cafe MeltingPot 近藤晴彦代表>
「いまは我慢するしかない。飲食店もコロナで店を閉める人が結構いて、何とか乗り越られたけど、今度は値上げの波が押し寄せてて、値上げをするしか方法がなくってくるか可能性もある」

帝国データバンクによると、8月は調味料や乳製品など1102品目が値上がりします。醤油やみりんなどの調味料409品目が平均でおよそ8%値上がり。パック牛乳やヨーグルトなどの乳製品265品目が平均7%ほどの値上がりなどとなっています。

静岡市内のスーパーでは、1日から牛乳の店頭価格を値上げしました。

<田子重 西中原店 増田克己店長>
「こちらが牛乳コーナーです」
Q早速、値上がり?
「きょうから1割くらい値上げしています」

かつては特売品としておなじみだった牛乳の値上がりに頭を抱えています。

<田子重 西中原店 増田克己店長>
「牛乳は毎日飲むような商品なので、(特売にすると)集客につながる」
Qその牛乳が値上がりすると?
「日付も長くない商品だから、値段が上がって売れなくなってしまうと値引きにもつながるので、あんまり値上がりしてしまうと販売するのは大変」

食品価格の高騰はこんなところにまで影響を与えています。

藤枝市立総合病院(静岡県藤枝市)の調理室です。入院患者のため、栄養バランスを考慮した病院食をおよそ300人分毎日作っています。

<藤枝市立総合病院 管理栄養士 篠原由美子さん>
「ここ2年で考えると9~10パーセント食材費が上がっている。いろんなものの値上がりに対して、食事療養費が上がっていないことが本当に病院にとっては大変な問題」

入院したときの食事代、「食事療養費」は全国一律で1食640円。この金額は25年前から全く変わっていません。食材だけでなく電気・ガス・水道の料金も上がる中、質を保つためにぎりぎりの選択が迫られます。藤枝市立総合病院では、ウクライナ危機で高騰するサーモンを減らし、安価な冷凍の魚にするなど模索の日々が続いています。

<藤枝市立総合病院 管理栄養士 篠原由美子さん>
「食事は患者にとって体の栄養だけでなく心の栄養でもある。患者に少しでもよいものが提供できるよう、食事療養費が上がることを祈っています」

私たちの生活を揺さぶり続ける物価の高騰。まだ、その出口は見えてきません。

静岡経済研究所の恒友仁専務理事によりますと、現在の物価高は、主に円安の影響で輸入物価が上がり、全体の物価を押し上げている状態です。ただ、先週、日銀が金利上昇を容認したことで今後、円高傾向になることが予想されています。輸入物価が安定し、物価全体も落ち着く可能性があるものの、わたしたちがそれを実感できるようになるのは、まだ先になるとみられています。

© 静岡放送株式会社