「シルビアがあったからいまのぼくたちがいる」名門校サッカー部員を支えた“藤枝の父母”のホテル 惜しまれつつ閉館

サッカーの名門・静岡県立藤枝東高校の部員が長年、宿舎として利用してきた「ホテルシルビア」が経営難のため、2023年7月、閉業しました。サッカーのまち・藤枝を縁の下から支え続けた夫婦に、7月31日、OBたちが感謝の気持ちを伝えました。

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食事部屋に集まり、仲間と夕食を楽しむ藤枝東高校サッカー部の部員たち。静岡県藤枝市中心部にある「ホテルシルビア」は自宅からの通学が難しいサッカー部の生徒が長年、宿舎として利用してきた施設です。

全国大会の優勝経験があり、中山雅史さんや長谷部誠選手など数々のレジェンドを輩出する藤枝東高校サッカー部。偉大な先輩に憧れ、高いレベルでのプレーを望む子どもたちが毎年、全国から集まります。

<藤枝東高サッカー部2年 藪中宗一郎選手>
「僕は三重県から来ました。(シルビアは)本当の家という感じがするので、心細さはまったくなかったです」

ホテルシルビアの菊川千枝子さん(79)です。夫の一夫さん(80)とともに、30年以上サッカー部員らの生活を支えてきましたが、この夏、経営難のため施設を閉めることを決めました。菊川さんは、これまでに158人の藤枝東高生を見守ってきました。

<ホテルシルビア 菊川千枝子さん>
Q生徒に何を聞いてるんですか?
「こういう携帯の機械、この人に聞くと、いろいろ教えてくれてやってくれる。ね?」
<藪中宗一郎選手>
「はい」

<ホテルシルビア 菊川千枝子さん>
「ぜんぜん大変だと思ったことはなかった。元気もらえますね。いろんなことを、お願いねって言うとやってくれるし。元気いっぱいもらいました。幸せもいっぱいもらいました。だから、ありがとうって。みんなにありがとうって言いたい」

7月31日はシルビアを利用したOBや現役部員たちが菊川さん夫妻への感謝のセレモニーを企画しました。

<ジュビロ磐田 山田大記選手>
「遠方からサッカーをしたい一心で藤枝に飛び込んできたぼくたちを温かく受け入れてくれて、藤枝の父として、母として育ててくれて、おじちゃんおばちゃんの存在があったから、シルビアがあったから、いまのぼくたちがいる」

<ホテルシルビア 菊川千枝子さん>
「言葉にならないくらい、みなさんに感謝しています。これからも頑張ってください」

藤枝の父・母として部員たちを支え続けた菊川さん。これからも藤枝東高校を少し離れた場所から見守り続けます。

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