核保有国に訴え届かず平行線 被団協、英軍縮大使と面会

英国のリドル軍縮大使(右)の話を聞く被団協の家島昌志代表理事=2日、ウィーン(共同)

 【ウィーン共同】核拡散防止条約(NPT)再検討会議の準備委員会が開かれているオーストリア・ウィーンで2日、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の家島昌志代表理事らが核保有国の英国のリドル軍縮大使を訪れ、核兵器廃絶を訴えた。リドル氏は「核兵器には役割があり、平和のためには必要だ」と断言。約40分間の面会は平行線に終わった。

 家島さんは「核兵器の悲惨さを訴えてきた。力を貸してほしい」と求めたが、リドル氏は「他国の攻撃を抑止できる。使われない状況を維持することが大事だ」と強調。自国は核軍縮へ努力していると主張し「被爆者を勇気づける話でないことは理解しているが、これが現実だ」と述べた。

 家島さんは面会後の取材に「理解できない話ばかり。保有国の考え方は簡単に変わらないが核廃絶を言い続けるしかない」と言葉少なに語った。

 広島市の松井一実市長と長崎市の鈴木史朗市長も核廃絶活動への協力を呼びかけた。リドル氏は「ロシアや中国が真剣に核軍縮に取り組むと確認できるまで、廃絶に着手するつもりはない」と話した。

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