市の広報誌「広報さの」で連載された名物コラム"佐野弁ばんざい" 一冊にまとめた本が出版され話題に

 時代とともにだんだんと使われなくなりつつある方言。栃木県内も地域によりさまざまな方言がありますが、佐野市内で使われている方言を調べ、一冊にまとめた本が出版され話題になっています。

 佐野市の広報誌「広報さの」に、2007年4月号から今年(2023年)の3月号まで約16年間、196回にわたって連載された名物コラム。それを一冊にまとめた、「佐野弁ばんざい」を出版したのが、佐野市仙波町の森下喜一さん89歳です。

 森下さんは佐野高校から國學院大學に進学して、学生のころから方言に興味を持ったそうです。国語の教員として、國學院栃木高校で古文を教えながら、県内外を訪れてその土地のお年寄りに話を聞くなど、方言の研究や調査に没頭してきました。その後、岩手医科大学の助教授、作新学院大学の教授、鳥取大学大学院の教授などを務めながら方言の研究を進めました。

 7月に出版した「佐野弁ばんざい」は、広報さのに市民記者の肩書で連載したものを、新たに「植物・動物」や「生活・労働」など5つのジャンルごとに分類しまとめてあります。

 森下さんによりますと、佐野弁は宇都宮市や県北地域などの福島方面の東北的方言と、足利市など南部の西関東方言がまじりあった、独特な方言だといいます。

 今回の出版について「特にまとめることは考えていなかった」としながら、「一冊の本にしてまとめることで、未来に佐野弁を伝えることができてよかった」と話します。

 広報さの8月号では、連載終了を記念して「佐野弁ばんざい」と森下さんを紹介した特集を掲載しています。

 方言の魅力に触れることで改めてふるさとを見つめ直すきっかけにしてみてみてはいかがでしょうか。

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