火災や救助が必要な現場に素早く駆け付ける消防士。そんな職業に憧れて夢をかなえた双子の姉妹がいます。1人前になるために静岡県の消防学校で厳しい訓練を受けていますが、住民の力になるためには乗り越えなければならない課題に直面しています。
県内の救助隊員らが技術を競う大会で熱い視線を送っているのが、駿東伊豆消防本部の消防士、久保田優里奈さん(19)と双子の姉の紗里奈さん(19)です。1浪して消防士の夢をかなえ、いまは消防の技術や規律などを学ぶ消防学校に通っています。
1日でも早く先輩隊員のように、人の役に立てる消防士になりたい。猛暑のような6月、汗だくで訓練に取り組む2人の姿がありました。
<妹・久保田優里奈さん>
「ヘルメット脱いだらすごい髪形になってそう。やばい」
Q.重さとか大変?
「本当に重くて、のしかかってくると『お〜っ』てなって、ダンベルあげてるみたいな気分になっちゃって。普通のことなのに全然できなくて」
<3連のはしごを担ぐ妹・優里奈さん>
「1、2、3、よし!」
<教官>
「架梯(かてい)位置移動」
<妹・優里奈さん>
「前」
この日は、消防の現場に欠かせない3連のはしごを使う訓練です。
<妹・優里奈さん>
「前!左旋回!あっ」
はしごの重さは36kg。2人で運んでもかなりの負担です。本格的にはしごの訓練を始めたばかりのこの日は、優里奈さんの目から涙がこぼれました。
<同期>
「上がる上がる大丈夫。頑張れ」
<教官>
「1回、伏梯(ふくてい)」
<妹・優里奈さん>
「はしご伏梯。後方よし」
頑張りたい気持ちは人1倍強い優里奈さんですが、最後は、はしごを伸ばすことができませんでした。
<妹・優里奈さん>
「握力も弱いので、ロープが滑って全然上がらなかったので悔しくて泣いてしまいました。役に全然、立ててないなと思って」
<姉・紗里奈さん>
「前!」
姉の紗里奈さんも、優里奈さんと気持ちは同じです。1つでも技術を覚えようと全力で訓練に挑みます。
<はしごをのぼる姉・紗里奈さん>
「1、2、1、2、足場よし。進入よし」
元気よく訓練をしていた紗里奈さんですが…暑さもあってか、訓練の途中でダウンしてしまいました。
<姉・紗里奈さん>
「熱中症か脱水症状です。まだまだ自己管理をしなきゃいけないなって思います」
Q.あれだけつらそうだったのに、プラスの発想なんだね?
「ポジティブに行かないと。落ち込んでいる暇はないので」
落ち込んでいる暇はないと言っていた紗里奈さん。その数分後には、キリっとした表情で再び訓練に戻りました。
体力面での課題はすぐに克服できるものではありません。それでも夢に近づくため2人は努力を積み重ねています。