れもん湯存続へ若夫婦が奮闘 有松・角さん「憩いの場、快適に」 老朽化、燃料高騰にくじけず

常連客と話す角慎太郎さん(右)と恵里さん(中央)=有松3丁目のれもん湯

 金沢市有松3丁目の銭湯「有松温泉元湯れもん湯」を存続させようと、代替わりした3代目の若夫婦が奮闘している。創業37年目のれもん湯は、施設の老朽化が目立っており、今夏はエアコンが壊れて家族風呂の休業を余儀なくされた。燃料・電気代の高騰など銭湯にとって厳しい状況が続く中、夫婦は「地域の憩いの場を残したい」と、改装などの取り組みを進める。

 3代目の角慎太郎さん(32)は昨年9月、3代目社長に就き、妻の恵里さん(29)とともに、れもん湯を切り盛りしている。

 れもん湯は、同所に温泉が確認された1986(昭和61)年に創業。名前は、かつて同じ敷地内にあった喫茶店「レモン館」にちなんだ。コーヒー色の天然温泉で地域に愛され、全国的に銭湯の廃業が相次いだコロナ禍も乗り切った。

 慎太郎さんと恵里さんはれもん湯を盛り上げようと、さまざま取り組みを始めた。開店時間を早めたほか、蒸気を起こす「ロウリュ」を導入するなどサウナ室をリニューアル。交流サイト(SNS)を使った情報発信にも力を入れる。

 ただ、れもん湯は長年の使用で、設備の老朽化が目立つようになった。今夏は家族風呂のある2階のエアコンが壊れ、9月中旬ごろまで家族風呂を休業することになった。

  ●CFで資金調達

 角さんは、れもん湯を快適な場所にするため、クラウドファンディング(CF)を活用した資金調達を決めた。目標額は最大300万円に設定し、支援額に応じて回数券やオリジナルグッズなどを贈る。10月2日の休館日に行う修繕作業の体験なども加えた。

 支援額は全て銭湯の改装費に充てる。工事は10月に行う予定で、慎太郎さんは「銭湯は生活の一部で、地域の憩いの場にもなっている。より良い場所にしていきたい」と話した。

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