嫉妬や劣等感どう起きる? 相対評価の神経回路解明

 同僚の給料が自分より多いか気にしたり、高給と知り嫉妬を覚えたりすることがある―。他者の報酬を気にして相対評価する時の神経回路をニホンザルの実験で明らかにしたと、生理学研究所(愛知県岡崎市)のチームが4日までに英科学誌に発表した。磯田昌岐教授(神経生理学)は「人が嫉妬や劣等感を抱く仕組みの解明につながる」と期待している。

 チームはこれまで、サルがジュースをもらう際の口の動きから、報酬の価値を測定する方法を開発。自分の量が一定でも、目の前の他のサルが多くもらっていると、自分の分の価値が下がることが分かっていた。

 そこで、自己や他者の報酬の情報を処理する神経細胞がある「内側前頭前野」から、相対的な価値を処理する神経細胞がある「視床下部外側野」に伝達する回路に注目。薬剤などで一時的に回路の活動を妨げると、他者のもらう量が変化しても気にしなくなった。自分がもらう分の相対的な価値は変わらなかった。

 チームは、他者の報酬を考慮して相対的に評価する際、この回路が重要な役割を担っていると結論付けた。

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