滑舌の悪さは老化の合図――局アナ直伝『あいうえお滑舌トレーニング』で認知症予防!

飲み込むのが辛い、むせる、などの症状があったら「オーラルフレイル」が始まっているかも(写真:PIXTA)

運動機能の低下よりも早く、先に現れる老化の重要なサインが、噛む力・飲み込む力の低下、話すのに必要な口周りの筋肉の衰えなど、口腔機能が低下する「オーラルフレイル」だ。「フレイル」とは、一般社団法人日本老年医学会が提唱している「虚弱(frailty)」のこと。

「口腔機能が低下すると、生きるために必要な『食べる』ことにも支障がでます。コロナ禍で人と会わなくなり、滑舌が悪くなり、むせる人も増えています。今こそ、口腔機能のケアが必要です。誰でもどこでも言える『あいうえお』を用いた滑舌トレーニングで、口の周りの筋肉を鍛えてオーラルフレイル予防をしましょう」

そう教えてくれたのは、テレビ局アナウンサーの経験を活かし、現在、健康ボイストレーナーとして活躍中の赤間裕子さん。著書『1日1回「あいうえお」ボケないための滑舌トレーニング』が話題となった。コロナ禍で、多くの人の口腔機能の低下が懸念されることを痛感した赤間さんは、歯科医監修の元、口腔機能の衰えに悩むシニア世代に向けた、『1日3分でむせ予防! 60歳からの滑舌レッスン」』を9月2日に出す予定だ。

「口周りの筋肉が衰えると、噛めないものが増えて食事が楽しくなくなってしまいます。また滑舌が悪くなり、話すのも億劫に。社会参加など人との交流が減っていくことから、オーラルフレイルが進むと認知症にもなりやすいといわれます。

そのためには、意識的に声を出し口の周りの筋肉を動かして滑舌をよくすることが必要です。とにかく、毎日声を出すことで、口腔機能のトレーニングになります。1日3分でOK!『あいうえお滑舌トレーニング』で、オーラルフレイル対策と認知症予防をしましょう」

■まず声を出すときの基本、腹式呼吸を身につけよう

「のどに負担をかけずに、お腹から声を出すことで腹筋も鍛えられ、ダイエットにもつながります。血行もよくなり便秘や冷え性の改善にもつながりますよ」

【1】両足は肩幅の広さに開き、背筋を伸ばしてまっすぐに立つ。
【2】片手をお腹に軽く添えて、口から息を「ふ~」とゆっくり吐き出す。このときお腹が凹むのを意識して、もう吐けないくらいまで。
【3】口をとじて、鼻から息を静かにゆっくり吸う。お腹が膨らむのを意識しよう。このとき肩や腕があがらないように気をつけて。
【4】2の「吐く」→3の「吸う」を、1回5秒を目安に3回繰り返す。

■準備の腹式呼吸が終わったら、いよいよ「あいうえお滑舌トレーニング」

「まず心がけるのは、母音の『あ・い・う・え・お』の口をしっかりと正しく開けること。表情筋が動いて顔の筋トレにもなります」

【あ】指が2~3本入るくらいに縦に大きく開けます。舌は下げておいて。
【い】小指が1本口に縦に入る程度に、左右横に開きます。口角は耳の方に寄せるイメージで。
【う】唇をすぼめて、少し前に突き出して、小さな丸をつくります。
【え】唇を左右に引くように、指が1本入るように開きます。舌先はやや上向き。
【お】唇と頬に少し力を入れて頬がやや凹むように楯に開けます。

上記の口の開き方を覚えたら、いよいよ「あいうえお滑舌トレーニング」実践編!

「最初は、『あ・い・う・え・お』~『わ・い・う・え・を』まで五十音を1音ずつ、口の開け方を意識して、区切って声に出していきましょう。

続けて、『あいうえお、かきくけこ……(略)わいうえを』まで、五十音をなめらかに声に出していきましょう。これを1日1回、ぜひ続けてください」

1日3分。肩の力を抜いて笑顔で楽しみながら、オーラルフレイル対策で認知症予防をしよう!

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