1日3時間以上の利用で“うつの悪化リスク”が2倍……「夏休みSNS」で傷ついたときの処方箋5

夏休み中にSNSで受けた不快なコメントなどに傷つき、不登校を引き起こすことも(写真:PXITA)

公式アカウント名が「X」に正式に切り替わったTwitterがまたなにかと話題となっている。

ほかにもLINE、TikTok、Instagramと、オンラインで他者と繋がり交流しやすい、便利なSNS。

しかし一方で、青少年たちは夏休みなどの長期休みに入るとSNSにアクセスする時間も増え、それをきっかけにいじめや誹謗中傷、性犯罪や誘拐事件の被害にあったり、闇バイトをはじめ詐欺・強盗等に巻き込まれてしまうことなども、問題となっている。

米国でも青少年へのSNSの影響は深刻な問題で、アメリカの公衆衛生を統括する立場である厚生省のマーシー医務総監は、今年5月に「SNSと子どものメンタルヘルス」に関する報告書を公開し、10代の子供のメンタルヘルスに与える悪影響について「SNSを1日3時間以上利用する青年は、うつや不安といったメンタルヘルスの悪化リスクが2倍」などと報告書で指摘した。

日本における子どもや青少年のSNS利用率は、6~12歳で36.8%、13~19歳で90.7%と報告されており(参照:総務省 情報流通行政局 令和3年通信利用動向調査報告書[世帯編])、13歳を越えるとほぼすべての青少年がSNSによる影響を受ける。

そんな現状に対し、

「SNSをやっている場合は、“テキトー”を心がけましょう。まじめな人ほど、自分がつくったルールに縛られて悩みをつくってしまう。毎日チェックして返信は必ずするなどのルールをつくってしまうと、やりたくないときに無理したり、逆にしばらく更新していないと心配されたり、余計なトラブルの元にもなります。

SNSは、ひまつぶし程度! “テキトー”に、顔を出してのぞいたりしていると、周りも誰も期待せずに、テキトーなんだと思ってもらえて、気楽につきあえます」

とアドバイスするのは、Tomyさん。オネエキャラで’19年からTwitter(現X)でのつぶやきが「金言!」「癒される」と話題となり、現在は38万人のフォロワーがいる精神科医だ。8月には著書『精神科医Tomyの人に振り回されない魔法の言葉』も上梓。

そんなTomyさんには10代のフォロワーも多いという。

これから夏休みを過ごす青少年たちに向けて、ネット社会でのSNSとの上手なつきあい方や、傷ついたとき、疲れたときの心の処方箋を聞いた。

■処方箋(1)

《嫌な気分になったらすぐその画面は消して、すぐに離れること》

ネガティブなニュースもしらずしらずのうちに目に入ってくることもある。

「嫌な気分になるなら、その情報を追いかけないで。好奇心が起きても抑えましょう」

SNSでの誹謗中傷は、目には見えないけれど、言葉の暴力となり心が切り裂かれる。

「自分のやることは自分がルールでいい。王様気分でやるといいと思う。中途半端に相手に気をつかうと、はっきりとは傷つけてこないけど、嫌な内容を送ってくる人もいる。

ネガティブなコメント、罵詈雑言のレスポンスや変なリンクをつけてくる相手は、すぐ、ブロックを。そして、イラっとはするけど自分に害悪がない相手なら、ミュートにしてはどうかしら」

■処方箋(2)

《仲間はずれにした人と仲良くしようなんて思わなくていい》

「SNSで炎上したとしても、SNSでのことはSNSでしか起きていないので、リアルな現実では何も変わっていないの。だから気にしないでいいんです。大丈夫! あと、人は忘れるもの。私もかつて嫌なこともあったけど、もう忘れました(笑)。

もし、SNSで仲間外れにされたと思ったら、そこと関わる必要はないって、向こうから教えてくれたようなもの。仲間外れにした人と、仲良くしたいと思わないでしょう?」

■処方箋(3)

《気にしなければ、幸せ。幸せになりたいから、絶対気にしてあげない》

「もし、あなたのことをわかっている人なら、誤解なんてしないし、誤解したとしても、勝手に修正してくれるはず。誤解をする人は、そもそもアナタのことをわかろうとしていないの。だから誤解をとく労力なんて必要ないわ」

■処方箋(4)

《心が軽くなる魔法。毎日1度は「ま、いっか」》

「嫌なことがあっても、それは過去。どんどん後ろに流れていきます。「ま、いっか」で受け流して、振り返らないこと」

■処方箋(5)

《話が通じないと思ったら、説得はせずにあきらめたほうがいい。話が通じないという前提で対策しましょ》

「人を悪く言う人って、だいたい自信がないのよ。だから周りを下げようとするの。それをやめるように言ったところで通じない、そもそも分かり合えないんだから、無理しないこと」

もしも自分の子や、周りになんとなく元気がなかったり、疲れている子どもがいたら、次のことを心がけて、とTomyさん。

「子どもはSNSの中での『いいね』のアクションを楽しみにしすぎる傾向がありますが、『いいね』への期待はやがて、必ず苦痛に変わります。お子さんには、リアルなお友達との交流を勧めてあげてくださいね」

© 株式会社光文社