【豊後大野】豊後大野市緒方町と朝地町の境にある「蝙蝠(こうもり)の滝」を訪れる人を増やそうと、滝を望む展望台がある緒方町草深野地区の住民が環境整備に取り組んでいる。上から見ると翼を広げたコウモリのように見えることから名付けられたとされ、2007年に国の登録記念物に。住民は草刈りなどを通じ、雄大な滝の姿がよく見えるよう景観向上を図っている。
滝は大野川中流にあり、幅約120メートル、高さ約10メートル。沈堕の滝(大野・清川町)、原尻の滝(緒方町)と並ぶ同市の三大瀑布(ばくふ)とも称される。
古くから名高い滝として知られ、岡藩が作った「豊後国志」(1803年)には「滝が水しぶきをとばして流れ、大きな音をたてている。滝の白い流れが虹をつくっている」と書かれている。
ただ他の2滝と比べるとアクセスが悪く、知名度はいまひとつ。このため同地区は地域おこしの一環で8年前から展望台一帯の整備を始め、年2回、草刈りをしたり、住民の土地の一部を見物に来た人の駐車場として提供するなどしている。
7月下旬にあった草刈り作業には地区役員ら11人が参加。眺望を妨げていた直径30センチほどの木や人の背丈以上に伸びた雑草などを刈り取り、急斜面に生えた草木は命綱を着けて下りながら慎重に伐採した。展望台に続く道路のり面などもきれいにした。
嶺孝典区長(76)は「近くにある水力発電施設の工事に伴い道路の舗装などが進み、寄り付きやすくなっている。多くの人に素晴らしい景観を楽しんでもらいたい」と話した。