22年度栃木県警 警官ら男性育休取得20.7% 大幅増、1カ月未満8割

 2022年度に育児休業を取得した栃木県警の男性警察官・職員は31人で、育児休業取得率は20.7%となり、20年度の0%、21年度の1.1%から大幅に増えたことが4日までに、県警のまとめで分かった。取得期間は1カ月未満が8割を占めた。県警は、社会内で男性の育休取得が推進され、各職場の理解が進み、取得しやすい環境が整ってきたことを要因に挙げる。一方、「取得率は上がってきたが、全国の都道府県警と比べて高いとはいえない」と受け止める。県警は24年度までに政府方針の取得率50%を目指す。

 県警警務課によると、各年度内に子どもが生まれた男性警察官・職員が育休の取得対象者となる。22年度は20~30代を中心に150人が対象で、うち31人が取得した。21年度は対象者175人中、取得者は2人にとどまった。18~20年度の対象者は計541人で、取得はそれぞれ0人だった。

 22年度の取得期間の内訳は1カ月以内が25人で、うち1週間未満が10人。1カ月~3カ月以内が2人、3カ月~半年以内が1人。半年以上は3人で、1人は約2年間取得予定という。

 22年4月施行の改正育児・介護休業法は、取得対象の職員への意向確認や制度周知を義務化した。刑事部門でも取得した警察官は複数おり、同課は「男性の育児参加は社会の要請。県警全体で共通認識を高め、育休を取りやすい環境づくりを進めている」と説明する。

 育休取得者からは前向きな声が上がる。本部警務課の30代男性警察官は4人目の子どもが生まれ、3月に1週間、初めて育休を取った。「子育てに集中できる期間が持てるのは大きい」と意義を強調する。

 本部サイバー犯罪対策課の30代男性警察官は、昨年10月から3カ月間取得。「双子とわかった時点で取得を決めた」と振り返る。当初は2カ月と考えていたが上司の後押しもあり、期間を延ばした。「『気にせず取りな』と言ってもらい、すんなりと取ることができた」と話した。

 県警警務課はさらなる取得率向上に向け、育休取得者が抜けた業務の穴をフォローする体制の構築のほか、各職場の理解促進を今後の課題に挙げる。担当者は「仕事と育児を両立できる職場は、就職活動中の学生にとっても大きな判断材料となる。働きやすい職場づくりを推進したい」としている。

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