登校児童を見守り続けた95歳 「地域の力」に高根沢の阿久津さん 町が表彰

長年の実績が評価された阿久津さん

 【高根沢】町や地域の発展に貢献した人や団体を町が表彰する「地域の力」でこのほど、文挟の無職阿久津光男(あくつみつお)さん(95)が選ばれた。北小学区で登校する子どもたちへの長年の見守りが評価された。表彰制度は2007年度に始まったが、加藤公博(かとうきみひろ)町長は「阿久津さんが最高齢の受賞者では。町の未来に希望を与える行動に感謝しています」と述べた。

 表彰対象は、各種審議会委員や地域の共同活動への参加者、町のPRや活性化に貢献している人や団体となっている。選考は、町に提出された推薦書の審査で決定する。総務課の担当者によると、これまでに26団体と、個人115人が選ばれているという。

 北小の近くに住む阿久津さんは国鉄(現JR)を定年退職後、個人的に児童の見守り活動を実施。通学時に自宅の前に立つなどし、安全に配慮してきた。

 活動の励みは、子どもたちが大きな声であいさつをしてくれること。中には、中学、高校、社会人になっても声をかけてくれる人もおり、「うれしい」と話した。また小学2年の女児からもらった手紙には「来年は弟も入学するので、よろしくお願いします」と書かれており、「姉が弟を思う気持ちと礼儀に感動しました」と振り返った。

 82歳で運転免許証を返納後は週2回ほど、徒歩で片道30分のスーパーまで通っているという。

 阿久津さんを推薦した北小スクールガードの斎藤次央(さいとうつぎお)代表(83)は「人生100年時代の見本のような人」と敬う。阿久津さんは「当たり前のことをやっているのに、公になるのは恥ずかしい」と謙遜している。

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