【幌村勝さん(株式会社コージ製靴 / 取締役 新潟工場長)】職人が作る靴の素晴らしさを知ってほしい

幌村勝さん(株式会社コージ製靴 / 取締役 新潟工場長)

【プロフィール】
幌村 勝(ほのむら まさる): 千葉県松戸市出身。株式会社コージ製靴に入社し、千葉工場で勤務後、新潟工場の立ち上げに伴い、工場長として新潟へ移住する。自社工場や百貨店での催事を中心に販売し、顧客満足度を上げるための商品づくりやアフターサービスを徹底している。

ガタチラスタッフ:『新潟人162人目は、株式会社コージ製靴 / 取締役 新潟工場長の幌村勝さんです!職人として働いていた幌村さんは新潟工場の立ち上げとともに新潟へ移住、そして工場長に。たくさんの苦労を経て、今では3世代で利用するお客様がいるほど多くの方に愛されている革靴メーカーです。これまでの苦労やコージ製靴ならではの魅力をお聞きしました。素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』


靴職人として千葉から新潟へ

──コージ製靴に入社したきっかけはなんですか?

幌村さん:純粋に「楽しそうだな」と思ったからです。手仕事が好きで、縁あってバイトに入ったのが最初ですね。それから正社員になり、新潟工場の立ち上げと共に新潟に来ました。新潟工場は、もともと高級な価格帯の靴を製造していた他社の工場だったので、設備も整っていました。

──新潟工場を任された時はどんなお気持ちでしたか?

幌村さん:「マジか…」というのが本音でしたね(笑)。千葉工場では職人として靴を作ることしかしていなかったので、工場を回すことはできても、電話対応や接客、パソコンの使い方など何も知らないままでした。それを全部やらなければならない状況になって大変でしたね…。当時は職人が新潟工場だけでも40~50人いたので、まとめるだけでも厳しかったです。

──職人気質の人も多かったでしょうね。

幌村さん:私が20代だったこともあり、職人さんたちはなかなか言うことを聞いてくれませんでした(笑)。当時は年功序列で、何年やってきたかがモノを言う世界でしたね!

──工場をまとめていくために工夫したことは何ですか?

幌村さん:まずは、“職人さん達より腕を磨くこと”、そして“自分が率先してやる”ということです。自分が作ったものを見てもらって、職人さん達に認めてもらいました。自分ができないと何が良いのか悪いのかもわからないですし、「やってくれ」とは言えませんからね。そうなるために、徹夜で練習しました。こう見えて、根は真面目なんです(笑)。

──誰よりも技術で上回らないといけないんですね。

幌村さん:職人の世界は“できるか、できないか”なんです。営業でどんなにいい仕事を取ってきたとしても、いい靴を作れなければ相手にしてもらえません。もともと千葉での下積みがあったので、新潟に来て1年程で認めてもらえました。それから、やっと世間話ができるようになりましたね(笑)。

万全のアフターサービスがこだわり

──コージ製靴さんのこだわりは何ですか?

幌村さん:職人が自ら接客して販売しているところですね。“自分で作って自分で売る”というのが基本です。革の特製やフィッティングなど、作り手だから分かることがたくさんあるんです。その点を含みながら接客できるのは当社ならではですね。

──職人さんが自ら接客して販売するのですね!

幌村さん:あとは、購入してからのアフターサービスです!海外生産の輸入品と比べたら価格は決して安くないですが、それはサービス料込の価格設定だからです。革の色など、お客様の要望を伺って靴を完成させますし、アフターケアには力を入れています。商品の取り扱いやお手入れの仕方もしっかりお伝えしますし、傷んでしまった靴のリカバリーにも対応しています。

──会社の強みはどんな点ですか?

幌村さん:「色物の靴」ですね。手間はかかりますが、お好みの革と色味にできるのが当店の強みだと思っています。“顧客満足度を上げるためにできることはする”というのがモットーです。これは10年以上前に、当社がOEMをやめて直売専門でやるようになってから大切にしています。直売ならではのことをやり続けた結果、お客様に来てもらえていると思いますね。

──お客様と直接お話できるのは強みですよね!

幌村さん:お客様の意見を商品に反映できるのも強みになっていると思います。お客様の要望を取り入れた新潟ならではの靴もあります。冬用はもちろん、新潟では幅広のデザインが好まれる傾向にあるので、幅を広く作ったり、伸びやすい素材を使ったりしています。当店の靴が良いと10年以上通ってきてくださるお客様もいて、大変ありがたですね!

──衣料品販売の「Colors」も併設されていますが、導入したきっかけは何ですか?

幌村さん:当店は定期的にセール販売会を実施していますが、「良いものを安く」をコンセプトにしています。販売会では革靴のほか、スーツやカジュアルシューズなど、様々なアイテムを揃えています。その中で、「レディースの衣料品も置いて欲しい」という要望もあって、導入しました。「Colors」は、作りすぎて在庫品となったブランド品などを販売しているので、高品質な商品を廉価で提供できます。そういったものを扱うことで、“地域還元にもなる”という考えもありますね。

革靴の素晴らしさを広めたい

──お客様との印象に残るエピソードを教えてください!

幌村さん:当店は「カラーオーダーサービス」を実施しているのですが、靴に色を塗る作業を「自分でやってみたい」というお客様がいたんです。それで、父の日にあわせて“お父さんの革靴を作るイベント”を企画したんです。そこに参加してくれた兄妹が靴を片足ずつ、それぞれ色を塗ったんですね(笑)。色味が合わないと思ったのですが、意外と揃っていて、お父さんもとても感動していました。

──素敵なエピソードですね♪

幌村さん:お客様が靴を購入して、帰る時に「ありがとうね」と言ってくださるのも嬉しいことです。こちらがお客様にお礼を伝える立場なのに、お客様から言ってくださるのがとても嬉しいんです。親子で購入しに来てくれる方や親子三代で利用してくださるお客様もいて、とてもありがたいと思っています。

──最後に、今後の目標を教えてください!

幌村さん:県内では新潟市内にしか店舗がないので、上越や長岡などの方にも新潟工場と同様のサービスを提供できるようにしたいですね。また、当店の強みである「職人が直接販売していること」があまり知られていないので、革靴の素晴らしさと共に多くの方に知っていただきたいと思います。そして、これからも“お客様に喜んでいただけるように、楽しみながらやっていきたい”です!

【コージ製靴 新潟工場】
住所:新潟市西区鳥原新田370-1
電話番号:025-370-6910
営業時間:8:00~17:00
定休日:土、日、祝(セール期間中を除く)
HP:https://kohji-niigatafactory.jp/

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