NTT、スパイ通報の窓口設置 手口巧妙化、察知迅速に

NTTが設置した産業スパイの通報窓口のイメージ

 NTTが、先端技術の海外流出を防ぐため、産業スパイへの対策強化に乗り出したことが5日、分かった。自社の研究者が産業スパイに接触された際に通報できる窓口を設けた。スパイの情報収集の手口は巧妙化している。NTTは、経済安全保障に直結する通信や量子技術などを数多く扱うため、不審な動きを迅速に察知して、社内で共有する体制を整備する。

 重要技術の管理では、ソフトバンクやNECも人工知能(AI)などを活用し、データへの不審なアクセスを監視するなどの対策を講じているが、産業スパイ対策で窓口を設けるのは異例だ。政府は、米中の覇権争いやロシアのウクライナ侵攻を背景に、経済安保の強化を重要政策に位置付ける。警察庁幹部は「日本を代表する企業が取り組みを始める影響は大きく、他社への浸透が期待できる」と話している。

 窓口はグループ会社からの通報も受け付ける。NTTは、重要技術が海外に流出すれば日本の安全が脅かされる恐れもあるとみて、対策強化が必要と判断した。

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