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打者としては本塁打、OPSなど各種成績でリーグを席巻し、投手としても被打率でメジャートップを記録するなど、球界最高の先発投手の1人として活躍している大谷翔平。今季のMVPはもはや大谷当確の感もあるが、大谷が送っているシーズンは球史の中でも史上最高のシーズンかもしれない。
『MLB.com』のマーク・パトリエロ記者は、過去のレジェンドたちとの指標の比較から、大谷の今シーズンのすごさに迫っている。
パトリエロ記者はまず大谷が三冠王を獲得する可能性と、シーズン62本塁打を放つ可能性に言及。
大谷は本塁打王レースを快走するほか、打率で3位、打点で2位と、三冠王にまだ可能性を残している。
さらに現在40本を放っている本塁打でも、シーズン58本ペースとしており、ジャッジが昨年ア・リーグのシーズン記録62本を射程圏内としている。
歴史上いた三冠王は12人のみ、60本塁打達成者は9人しかおらず、その中に当然投手はいない(ルースも60本達成時には投手ではなかった)。
もし三冠王あるいは62本塁打を達成すれば、文句なしで史上最高のシーズンになると締めくくっている。
そして、総合的な貢献度を示す指標であり、ますますポピュラーなものとなりつつあるWARから大谷を分析。
WARは「代替可能なレベルの選手と比べてどれだけ勝利を上積みできたか」を示す指標で、異なる時代の選手のパフォーマンスを比較する際にも非常に有用だ。
大谷のWAR(『ベースボール・レファレンス』版)は現在8.7でもちろんメジャートップ。1947年以来でシーズンWAR8.7を達成した選手はほとんど1シーズンに1人出るかどうかであり、シーズンの70%にも達していない現時点で達成した大谷はやはり異質と言える。
シーズンでいえば大谷は11.5WARペースであり、これ以上に優れたWARが1シーズンに記録されたのは4回のみ。その中でのトップは1967年にレッドソックスの伝説的強打者カール・ヤストレムスキーが記録した12.4だが、大谷がここに届くことはなさそうだ。
もっとも、ベーブ・ルースが史上最高の14.1WARを記録した1923年や、ヤストレムスキーが三冠王を獲得した1967年から比べれば、野球のレベルは向上しており、“代替可能”の水準も上がっているという側面はある。
そこで、大谷が“今シーズンの他の選手”から比べて、どれほど傑出しているかを見ることにすると、大谷はここでも群を抜いている。
過去、WAR1位と2位の差が最も開いたシーズンは、投手三冠を獲得したメッツのドワイト・グッデンがリッキー・ヘンダーソンに3.4の差をつけた1985年のことになる(20歳のグッデンはそのシーズン、WAR12.2を記録。グッデンは打撃も得意な投手で、打者としても1.1ものWARを稼いでいた)。
大谷は現在2位のアクーニャに3.2もの差をつけている。あまり注目されることのない観点だが、最終的に大谷がグッデン並みに他を引き離すことは十分あり得るだろう。
パトリエロ記者は最後に二刀流の価値にも言及。「ルースでさえやったことがない方法」で、大谷は史上最高かと議論になるようなシーズンを3年連続で送っていることは確かであり、「史上最高のシーズンではないと主張する方が、史上最高のシーズンだと主張するよりよほど難しい」と締めくくっている。