長崎市で「祈りの花瓶展」 被爆瓶を再現、触れるアートに 13日まで

被爆瓶を模した波佐見焼に花を挿す来場者=長崎市、Tol.GALLERY

 長崎原爆で変形した瓶を波佐見焼で精密に再現した「祈りの花瓶展2023~ナガサキを忘れない~」が長崎県長崎市浜口町の展示スペース「Tol.(トル)GALLERY(ギャラリー)」で開かれている。13日まで(7、8、10日を除く)。
 同市出身で東京在住のアートディレクター、毎熊那々恵さん(33)が手がける「Vase to Pray Project」の企画として市内では3回目。長崎原爆資料館の収蔵物なので元々触れない被爆瓶をアートにすることで、日常の中でカジュアルに平和を考えるきっかけになればと、2017年に活動を始めた。
 被爆78年にちなんで78個の花瓶が並び、3分ほどの映像で「忘れたいことほど忘れてはいけない」とメッセージを発信。被爆3世でもある毎熊さんは「偶然にも、モチーフの被爆瓶は、この会場から200メートル先で家屋の地中に埋もれていたもの。遺構巡りの途中で(同展に)立ち寄ってもらえたら」と話した。
 来場した長崎大医学部4年の葛島裕士さん(23)は「誰が何に使っていたのか。疑似的でも、より想像を促してくれる」と話し、手で感触を確かめていた。
 花瓶は同展示スペースの通販サイトや近隣の6店舗で1個1万5千円で購入できる。

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