長崎・創成館「守り勝つ」で上位へ 第105回全国高校野球選手権 10日、名門星稜(石川)と初戦

投打の大黒柱でチーム浮沈の鍵を握る永本(右)と不動のリードオフマンとして打線を引っ張る川﨑=長崎市、県営ビッグNスタジアム

 第105回全国高校野球選手権は6日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場に49校が参加して開幕する。5年ぶり3度目の出場となる長崎県代表の創成館は2回戦から登場。第5日の第3試合(10日13時10分)で星稜(石川)と対戦する。「守り勝つ野球」で一戦必勝を誓うチームの横顔を紹介する。

■ 防御率0.39
 長崎大会は第5シードで出場。「チャレンジャー」を合言葉に、夏前まで県内無冠だった悔しさを晴らすように混戦を勝ち抜いた。
 原動力となったのはチーム防御率0.39の投手陣。延長タイブレークの末に1-0で制した長崎北との準々決勝をはじめ、初戦から3試合28回無失点。準決勝は第1シード大崎、決勝は春の選抜出場校の海星に先制を許さず、粘り強く守りきった。
 大車輪の活躍を見せたのは右腕永本。全5試合に登板して、準決勝、決勝は完投した。直球の最速は147キロ。長崎大会は130キロ台後半が中心だったが、精度の高いスライダーを生かして抜群の安定感を披露した。テンポ良く丁寧に低めのコーナーを突き、三振も1イニング平均1個と勝負どころで力を発揮した。
 ベンチ入り20人中、投手は7人。エースナンバーを背負う福盛は最大差約50キロの緩急が持ち味で、2年生の村田も急成長してきた。長崎大会で出番がなかった4人やベンチワークを含めて「投」の総合力は高い。例年同様、バックも堅実。5試合で3失策を記録したが、経験豊富な捕手山下、二塁下川、遊撃川﨑が引っ張る守備力は全国トップクラスだ。
 ポイントは攻撃力。チーム打率2割5分2厘と迫力はない分、単打でつないで1点を積み重ねていく。稙田監督が「手数で勝負」と力を込めるように、バントや積極的なエンドランなどの機動力を有効に絡めていきたい。打線の中心も永本。1~3番の川﨑、東、松﨑で好機を広げれば、得点力は高まりそうだ。

■ “5年分”の夏
 チームは2018年に春夏連続甲子園出場して以降の5年間、何度も悔し涙を流してきた。出場権を手にしていた20年春の選抜大会はコロナ禍で中止。その夏に代替開催された甲子園交流試合は無観客だった。「誰かが何かをするとき、みんなで本気で応援する」をモットーにしている学校にとっても、今回は“5年分”の夏になる。
 前回出場した18年は明治神宮大会準V、選抜8強という実績から優勝候補に挙がっていたが、1回戦で創志学園(岡山)に0-7で完敗した。その後の3大会(20年は中止)は県勢が活躍。19年の海星、21年の長崎商、22年の海星がいずれも3回戦まで進んだ。激戦区となった長崎の代表校として、簡単に負けるわけにはいかない。
 星稜は1979年の箕島(和歌山)との延長十八回の激闘、92年のOB松井秀喜氏の5打席連続敬遠など、高校野球史に数々の球史を刻んできた名門。2019年夏も準優勝しており、相手にとって不足はない。主将の小野は「強い学校とやりたいとみんなで話していたのでうれしい」、稙田監督は「こういうチームに勝ってこそ全国で名前が売れる」と燃えている。

個人打撃成績と個人投手成績

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