「マルクのように攻めた」アレックス・マルケス、ドゥカティ移籍後初の優勝/第9戦イギリスGP

 アレックス・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)がMotoGP第9戦イギリスGPのスプリントレースで優勝を飾った。アレックス・マルケスにとって今季から始まったスプリントレースでの初優勝。また、スプリントレースのそれは公式結果として優勝数には記録されないが、最高峰クラスではトップでチェッカーを初めて受けたレースとなった。

 イギリスGPの土曜日は朝から本降りの雨に見舞われ、終日気温も低く、寒ささえ感じる天候となった。スプリントレースが始まるころには雨は小康状態となっていたが、コンディションはウエット。初めてウエットコンディションでスプリントレースが行われた。

 アレックス・マルケスはフロントロウからレースに挑み、2周目にマルコ・ベゼッチ(ムーニーVR46レーシング・チーム)やホルヘ・マルティン(プリーマ・プラマック・レーシング)、ジャック・ミラー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)をかわしてトップに立った。そこからは後方を引き離して1秒ほどのアドバンテージを築いた。最終ラップに2番手のベゼッチの接近を許したが、トップでフィニッシュラインを駆け抜けた。

「9コーナーでシフトダウンミスをして、3速じゃなく2速でコーナーに入ってしまったんだ。それで0.5秒もロスしてしまった」

 アレックス・マルケスは最終ラップでミスしたことを明かした。そのとき「(マルコ・ベゼッチに)差を詰められるな」と思っていたという。

「僕はセクター3、4ですごく速く走れていたし、フロントタイヤは限界ぎりぎりの状態だったから、彼が僕をオーバーテイクするのは難しいだろうとわかっていたんだ。だから僕としては自分のペースをキープして、いつもより少しラインを閉めたよ」

「シーズン後半戦を最高の形でスタートできた」と、アレックス・マルケスは笑顔を浮かべた。最高峰クラスに昇格した2020年から所属してきたホンダを去り、2023年シーズンはドゥカティに乗り換えた。移籍初年度にもかかわらず、アレックス・マルケスはシーズン序盤から速かった。第3戦アメリカズGPでは予選でポールポジションを獲得して、ウエットコンディションの決勝レースは3位表彰台に立っている。

 レース後には兄、マルク・マルケスからの祝福もあったという。マルク・マルケスを含むホンダ勢はスプリントレースで軒並み苦しみ、マルク・マルケスは18位という成績でゴールしていた。アレックス・マルケスは、最高峰クラスで6度のチャンピオンに輝いた兄のように走った、と語っていた。

「(マルクが)今日のレースですごく苦戦したのはわかっていた。でも、僕が優勝して、マルクはとても喜んでくれたんだ。スペシャルだった。彼は僕に『今日はものすごく速かったな!』と言っていたよ。マルクがこれまでに何度も見せたレースのように、今日、僕も攻めたんだ」

 日曜日の決勝レースはドライコンディションになることが予想される。アレックス・マルケスは「すべてが変わるだろう」と、現実的な目標を挙げていた。

「リヤグリップをもう少し得るためにまだ改善すべきところはあるけど、全体的にフィーリングはそんなに悪くない。フロントロウからスタートするから、チャンスはあると思う。すごく長いレースでライバルも多い。全部が完ぺきにまとまったら表彰台をねらえるだろうけど、明日の目標としてはトップ5に入ることだ。現実的にはね。ドゥカティの速いライダーと比べたら、まだ足りないところがあるから。特にブレーキングだ。そのポイントで得られるものがあるようにフォーカスしていくよ」

 アレックス・マルケスのイギリスGPのスプリントレースでの優勝により──前述のように公式には優勝数には含まれないが参考として──、ドゥカティは今季の優勝ライダー(フランセスコ・バニャイア、マルコ・ベゼッチ、ホルヘ・マルティン)をひとり増やすこととなった。

最高峰クラスで初めてトップでチェッカーを受けた
「明日の目標はトップ5」と、現実的に語るアレックス・マルケス

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